長期ビジョンと中期経営計画

当社は2019年に2040年長期ビジョンを策定し、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」へと転身し、先端素材で社会の発展と革新に貢献するグローバル企業を目指すこととしました。当ビジョンを踏まえ策定した「2020~2022年度中期経営計画」期間中は、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条をはじめとする先端素材の生産能力増強や、社外パートナ―との共創による新規事業開発、ベース事業における構造改革など、当ビジョンの実現に向けた具体的な諸施策を積極的に進めました。
2023年5月、当ビジョン策定から4年が経過し、当社の進むべき方向性がより明確になってきたことや、直近の事業環境の変化等を受けて、当ビジョンの内容を一部改定しました。今後目指すべき方向・業容を踏まえたセグメントの設定、2040年利益目標の明記など、改めて現時点から2040年に向けた照準合わせを行っています。

2040年JX金属グループ長期ビジョン

半導体材料/情報通信材料のグローバルリーダーとして持続可能な社会の実現に貢献

長期ビジョンの主な改定点

  • 「注目すべき社会トレンド」の変化
  • ベース事業の位置付け、役割の再定義
  • 脱炭素ビジョンの表明
  • セグメントの設定
    ポイント1
  • 長期的な収益規模の目標の設定
    ポイント2

ポイント1
セグメントの設定

3つのセグメントを設定しています。フォーカス事業についてはステークホルダーの方々へ成長への道筋を適切に伝えるために、「半導体材料」「情報通信材料」の2つのセグメントとし、ベース事業については、フォーカス事業を支えていくという共通の役割を踏まえ、「資源」「金属・リサイクル」を「基礎材料」という1つのセグメントとしています。

セグメントの設定

ポイント2
長期的な収益規模の目標の設定

高収益・高成長のフォーカス事業が全社成長を牽引することにより、営業利益を2040年に2,500億円へと引き上げる目標を掲げています。

2040年における営業利益成長イメージ

2040年における営業利益成長イメージ

※ 共通費は両事業の営業利益額比率で配分

前回中期経営計画の総括

2020~2022年度中期経営計画は、自律性、機動性、独立性を高めた事業運営により、「2040年JX金属グループ長期ビジョン」で掲げる「技術立脚型企業への転身」を見据えた種まきをする3ヵ年と位置付け、新たな成長領域への取り組みを進めてきました。

前回中計での主な実行施策

前回中計での主な実行施策

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前回中計期間中の実績(営業損益)

(億円)
2020年度 2021年度 2022年度 3カ年累計
フォーカス事業 機能材料事業・薄膜材料事業 311 545 564 1,420
ベース事業 資源事業 349 721 ▲220 1,940
金属・リサイクル事業 273 410 407
事業共通費用 ▲152 ▲94 ▲64 ▲310
合計 781 1,582 687 3,050
2022年度の業績概況

機能材料・薄膜材料事業については、各製品の販売量は半導体市場における民生用電子デバイスの需要減退や中国のゼロコロナ政策等による景気減速、また、それらに伴う各サプライチェーンにおける在庫調整を主因に、概ね前年度を下回り減益となりました。
資源事業については、前年度に比べて、チリのカセロネス銅鉱山における生産量は増加したものの、銅価の水準は下回りました。また、SCM Minera Lumina Copper Chileの株式譲渡の決定に伴い、資産の公正価値評価を実施し、753億円の損失を計上することになりました。
金属・リサイクル事業については、硫酸国際市況の当期前半の改善および為替が円安に推移したことで増益となりました。
こうした状況のもと、当期における売上高は前年比26.7%増の1兆6,378億円、営業利益は前年比895億円減益の687億円となりました。

財務パフォーマンス(連結/IFRS)

売上高

売上高

営業利益

営業利益

※ 在庫影響を含む

税引前利益

税引前利益

親会社株主に帰属する当期利益

親会社株主に帰属する当期利益

総資産・総負債

総資産・総負債

2023~2025年度中期経営計画

2023年度からの新しい中期経営計画では、フォーカス事業の成長を加速させる戦略投資の着実な実行に加え、ベース事業の構造改革や、社会的価値の創出により、「半導体材料/情報通信材料のグローバルリーダーとしての飛躍を目指す」ことを基本方針としています。

今回中計の位置付け

今回中計の位置付け
今回中計の収支計画

2022年度から続くエレクトロニクス市場の調整により期初の事業環境は厳しいものの、回復期以降の需要を取り込むことにより、前回中計期間以上の累計営業利益を目指します。また、フォーカス事業の需要増に備えるため、積極的な戦略投資を実行していきます。

営業利益累計額

営業利益累計額
投資戦略について

2023~2025年度中期経営計画では、フォーカス事業の需要増に備えるため、3ヵ年で2,900億円の投資を実行します。そのうち、1,700億円は、「フォーカス投資」と位置付けており、ひたちなか新工場(仮称)の設立や新規事業の創出など、2026年度以降に効果が発現するものとみています。

今回中計の投資計画

今回中計の投資計画
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