当社グループのTANIOBIS GmbH(在ドイツ、以下「TANIOBIS社」)は、世界各地に製造拠点と販売拠点を有する世界有数のタンタルとニオブの材料メーカーです。当社は、TANIOBIS社を中心にコンデンサや半導体材料用の金属粉、SAWデバイスや光学レンズ用の酸化物、半導体用の塩化物、高機能粉末材料等の安定供給を通じ、IoT/AI社会の発展に貢献しています。
JX金属(株)
執行役員 タンタル・ニオブ事業部長 技術本部審議役
飯田 一彦
既存事業においては、コンデンサ用高純度タンタル粉は2019年から続く一部大手顧客の在庫調整等があり、販売が伸び悩んでいたものの、新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要もあり底を打ち、2021年度の堅調な需要につながっています。また、スパッタリングターゲット用高純度タンタル粉は、半導体市場好調により需要増となりました。一方で、ニオブが用いられる航空機用エンジンやガスタービン等への合金添加材市場は大きく低迷しました。また、新規事業開発においては、事業基盤拡大を図るべく、TANIOBIS社と当社、東邦チタニウム(株)グループ、各種スタートアップとの綿密な連携による製品開発やシナジー実現に向けた活動を推進しています。これまで顧客からのさまざまな要望に応えるなど、上市に向けて着実に成果を上げつつあります。
JX金属(株)
執行役員 タンタル・ニオブ事業部長 技術本部審議役
飯田 一彦
巣ごもり需要の拡大やPC、通信インフラ向け需要増といった要因から、TANIOBIS社の主力製品であるコンデンサ、半導体用スパッタリングターゲット用のタンタル粉の需要は好調に推移すると考えています。一方、ニオブは先行き不透明な状況が続いていますが、航空機産業の状況等は一時より回復しつつあります。こうした状況の中、TANIOBIS社としては、営業と技術が一体となった顧客目線の営業活動を推進し、一層のシェア拡大を図るとともに、各拠点の製品構成の最適化やコストダウン、安定した原料調達を進めていきます。また、ゴスラー工場で再生可能エネルギーに100%切り替えを実施する等、CO₂ネットゼロ化にも積極的に取り組んでいます。新規事業についても、レアメタル、機能性粉末を軸とした開発中の新規アイテムの早期商業化を推進していきます。
TANIOBIS社の高い技術や優れた製造プロセスをより活かし、顧客目線に立った営業と開発・製造を推進すべく、2020年度から「Customer First Project」として、顧客密着型のビジネスモデルを展開しています。各製造拠点にテクニカルセンターを新設し、顧客の話を聞きながら開発・改良を行うことで、顧客ニーズの引き出しを行います。営研工一体となってワンストップで対応し、利便性が向上するので、顧客からもこの取り組みを評価する声が聞こえてきており、拡販にも徐々に効果が出つつあります。今後もTANIOBIS社はタンタルとニオブを中心に、市場の期待に応え、高品質の高機能粉末材料を安定的に供給することで、IoT/AI社会の発展に貢献していきます。
TANIOBIS社ゴスラー工場