チタンは、軽量・高強度・高耐食という特性を持つ金属であり、航空機や海水淡水化プラント、発電プラントなど幅広い分野で利用されています。当社グループの東邦チタニウム(株)では、チタン製錬や、その関連材料・技術を用いた触媒(プロピレン重合用)、化学品(積層セラミックコンデンサの内部電極・誘電体材料等)の製造などを行っています。
東邦チタニウム(株)
代表取締役社長 社長執行役員
山尾 康二
チタン事業については、コロナ禍で航空旅客数が激減し、生産活動の大幅低下やサプライチェーン内の在庫圧縮などにより航空機向け需要が未曽有の落ち込みとなったほか、一般工業向け需要も低調に推移しました。半導体用途向け需要は堅調であったものの、チタン事業は総体として大変厳しい事業環境を余儀なくされました。一方、触媒事業は、主要製品であるプロピレン重合用触媒の販売は概ね前期並みとなり、化学品事業は、通信関連用途需要の立ち上がり等により堅調に推移しました。
東邦チタニウム(株)
代表取締役社長 社長執行役員
山尾 康二
チタン事業は、航空機向け・一般工業向け共に緩やかな需要の回復を見込みますが、コロナ禍以前のレベルに回復するには数年を要するものと想定しています。昨年、海外主要顧客と改定した長期契約により、今後販売量は増加する見込みであり、国内のスポンジチタンの稼働率は年度平均で80%を計画しています。触媒事業は、コロナ禍の影響は残るものの、ポリプロピレン需要は堅調に推移するものと想定しています。化学品事業は、スマートフォン、車載向け、5G関連需要は引き続き堅調を維持し、2021年4月に竣工したニッケル粉第4工場の稼働により、年度後半からは業績面で寄与する見込みです。今後も触媒事業・化学品事業については、さらなる事業拡大を追求し、市場の伸びを上回る成長を目指します。
東邦チタニウム(株)はチタンの新製錬技術について、これまで米国企業と共同開発を、一部NEDOの戦略的省エネルギー技術革新プログラムの支援のもとで実施してきました。その結果、経済性、消費エネルギー、CO₂排出量削減等の観点から、極めて有望な技術であるとの判断に至り、2021年度からパイロット規模の試験に移行することになりました。本技術を中核にその他さまざまな技術の導入や施策により、2050年にCO₂ネットゼロの実現を目指します。