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マテリアリティ4 人権の尊重

マテリアリティ4

人権の尊重

グローバルに活動する当社グループでは、地域住民、顧客、従業員、取引先を含むすべてのサプライチェーンに関わる方々の人権を尊重し、健全な経営を持続することが事業継続の前提条件であると認識しています。この考えのもと、説明会やヒアリングなどの機会を通じて、人権に配慮した事業活動につなげるとともに、人権尊重の企業風土づくりにも取り組んでいます。

主な取り組み
人権教育・社内啓発

人権教育・社内啓発

サプライチェーンでの人権配慮

サプライチェーンでの人権配慮

KPIと進捗状況

評価: 達成・順調 未達

KPI 2020年度実績・進捗 評価
人権研修の受講率:
2020年度100%
人権の尊重を企業行動規範や社内規則に定めると
ともに、グループ各社にて、人権意識の向上と人権問題の
発生防止を目的として、人権研修やeラーニングを継続実
施しています。2020年度も役員・従業員を対象とした人権
研修を実施し、受講率は100%でした。
人権教育・社内啓発
サプライチェーンにおける
人権調査の実施
当社グループはサプライチェーン全体で人権侵害を
防止すべく取り組んでおり、原料の調達においてOECD
ガイダンスに準拠したサプライチェーン・デュー・
ディリジェンスのマネジメントシステムを構築し、運用しています。
2020年度も金・銀・タンタルについて、外部監査を受審し、
適切な対応がとられていることが認められました。
サプライチェーンでの人権配慮
人権教育・社内啓発
JX金属グループ企業行動規範(抜粋)

8. 国際的な事業活動
国際的な事業活動においては、関係する国や地域の人々の基本的人権を守るとともに、文化・慣習を尊重し、持続可能な発展に貢献する経営を行います。

JX金属グループコンプライアンス基本規則(抜粋)
不当差別の禁止

JX金属グループ各社及びその役員社員等は、人種、国籍、性別、年齢、信仰、社会的身分、身体的特徴などを理由として、従業員の採用、賃金、労働時間その他の労働条件、取引条件等について不当な差別は行わない。

ハラスメントの防止

JX金属グループ各社及びその役員社員等は、セクシャル・ハラスメント(ジェンダー・ハラスメントを含む。)及びパワー・ハラスメントの防止に積極的に取り組むものとする。

個人情報の保護

JX金属グループ各社及びその役員社員等は、個人情報保護関連法令及び社内規則等を遵守し、顧客、取引先、従業員等に係る個人情報を適切に保護するとともに、業務上の必要から個人情報を取り扱うに当たっては、細心の注意を払いその適切な管理に努めるものとする。

児童労働、強制労働の防止

JX金属グループ各社及びその役員社員等は、児童労働や強制労働に直接かかわることなく、またこれらの問題の解決に貢献すべく努めるものとする。

人権に関する教育の実施

当社グループでは、不当差別、ハラスメント、強制労働、児童労働などの防止に向け、関連するガイドラインを整備して周知するとともに、定期的な研修の機会を設けて人権意識の定着に注力しています。2020年度は全グループの社員を対象に、「ハラスメント」をテーマとした人権研修を実施しました。
このテーマは、「JX金属グループ コンプライアンス基本規則」にて、差別・ハラスメントを行わないことを明記していることを受けて、従業員の人権にかかる意識向上およびハラスメントへの理解を目的として設定したものです。「ハラスメントは誰もが加害者・被害者になる可能性がある」という考え方のもと、ハラスメントが企業・従業員に及ぼす影響を認識し、一人ひとりが自らの言動や職場の環境を見つめ直す、良いきっかけとなりました。今後もグローバルな事業展開において人権の考え方を理解し、人権に配慮した事業活動を推進していきます。

eラーニングの教材

人権eラーニング総受講時間

人権に関する相談窓口と救済措置

当社グループでは、人権侵害を含む社内における相談窓口として、「JX金属グループホットライン」を設置し、日常的に発生し得る人権問題から重大な人権侵害まで匿名で相談を受け付けています。ホットラインでは通報案件すべてにつきその内容および対応状況を当社社長に説明しています。ホットラインの設置については、社内のイントラネットに掲示して、人権研修をはじめとする各種研修にて周知を図っています。ホットラインに相談・通報することによって、通報者に不利益が生じることは一切ありません。2020年度の通報件数は6件でした。
また、救済措置については、相談された事案について、外部のいかなる救済措置によって解決を図ることも制限していないため、各国の法制度に従って他の救済手段を求めることもできます。

サプライチェーンでの人権配慮
JX金属グループ調達基本方針(抜粋)

4. 紛争鉱物への対応
・ 紛争地域における違法な活動やそれによる人権侵害に加担するような原料の調達は行いません。
・ 経済協力開発機構(OECD)が紛争地域からの原料調達に関して定めるガイダンスを尊重し、サプライチェーンを適切に管理します。

調達取引先の選定方針

当社グループが事業展開をする上において、当社グループのみならずお取引先様のサプライチェーンも含めて、社会的責任を果たすことが必要であり、お取引先様においても、以下の項目を遵守していただくことをお願いします。今後、以下の項目に違反し行政から不利益処分を受けたお取引先様や以下の項目を遵守していないことが明らかになったお取引先様に対しては、改善過程を確認します。また、以下の項目を遵守いただけない場合には、お取引先様との契約の見直し(解除含む)の要否を検討します。

1. 以下に例示するものを含め、法令・社会規範等を遵守し、人権、環境への配慮を重視していること。なお、国際的に認められた人権原則と法令・社会規範等との間に矛盾がある場合は、国際的な人権原則を尊重すること。
・製造・販売等に関する法令の遵守
・労働関連法令の遵守
・安全衛生に関する法令遵守と適切な労働環境の整備
・児童労働、強制労働の禁止
・人種、性別などによる差別の禁止および従業員の人権、人格、個性の尊重
・環境法令の遵守
・贈収賄、不公正な行為の禁止
・非人道的行為に加担する紛争鉱物の不調達、不使用
・反社会的勢力との関係遮断

2. 健全かつ公正な事業経営を行っていること。

3. 当社グループのグリーン調達ガイドラインに基づき、環境管理システムを構築し、指定する化学物質の適正な管理を行っていること。

4. 安定的な供給能力があり、当社グループが求める品質、価格、納期、サービスを満足すること。

5. 当社グループが求める十分な技術力を有していること。

地域住民に対する取り組み

鉱山の開発や運営は、周辺環境に与える影響がとりわけ大きいことから、地域住民の人権に十分に配慮する必要があります。カセロネス銅鉱山を運営するSCM Minera Lumina Copper Chileでは、地域社会支援の基本方針として「住民生活の尊重」「コミュニティと環境の保護」「現行法の遵守」 を掲げています。この方針のもと、鉱山の周辺地域で生活する先住民であるコジャ族と、プロジェクト開始当初の2007年から説明会の開催や意見の聴取を通じて、信頼関係の構築に努めています。2020年度も住民の権利を侵害する事例はありませんでした。

住民説明会の様子

住民説明会の様子

TOPICS
RBAのVAP監査を受審

年々高まる企業の社会的責任と顧客企業からの要請に適切に応えていくため、当社グループにおいては国際基準に沿った取り組みを積極的に進めています。既に2019年度に東邦チタニウム(株)茅ヶ崎工場、タニオビス・ジャパン(株)水戸工場にて受審していたRBAのVAP(Validated Audit Process)監査を、2020年度は当社磯原工場で受審しました。
RBAのVAP監査は、RBAの行動規範に基づき、労働・安全衛生・環境・倫理に関する基準とそのマネジメントシステムについて、整備状況や遵守状況を評価するもので、磯原工場では概ね良好な取り組み状況であるとの評価を受けました。今後は受審対象拠点の拡大を検討し、監査を受審し、一つひとつPDCAを回し継続的なレベルアップを図ることで、グローバルサプライチェーン全体での持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

※ RBA:Responsible Business Alliance
電子業界のサプライチェーンにおいて責任ある行動を目指して組織される企業同盟。

磯原工場

磯原工場

茅ヶ崎工場

茅ヶ崎工場

水戸工場

水戸工場

紛争鉱物への対応

紛争鉱物とは紛争地域において(多くの場合は違法に)産出され現地の武装勢力の資金源となり、人権侵害や非人道的行為の拡大につながる恐れのある鉱物の総称です。紛争鉱物の排除のため、情報開示とステークホルダーからの監視を強化する国際的な流れを受け、当社グループが関連する事業者団体(LBMA※1、RBAなど)においても調査プログラムが制定され、各事業者に対して調査や外部監査の受審を求めています。

金および銀のサプライチェーンに関する取り組み

金地金の生産者であるJX金属製錬(株)、銀地金の生産者である当社では、原料の発生元の確認、リスク評価、流通経路の確認などの内容を含む、サプライチェーン・デュー・ディリジェンスのマネジメントシステムを構築し、運用しています。運用状況は、LBMAが指定する第三者機関による外部監査を受けた後、同協会に報告されます。本手続きを通じてJX金属製錬(株)の金地金、当社の銀地金は、同協会のGood Deliveryリストに登録されています。同時に、RBAとGeSI※2が定めるRMAP Conformant Smelters(紛争鉱物を使用していない製錬所)リストにも掲載され、紛争鉱物排除の対応が的確にとられていることが認められています。

※1 LBMA:London Bullion Market Association(ロンドン貴金属市場協会)
金・銀地金の取引を行う金融機関などで構成される業界団体。同団体のGood Deliveryリストに登録されることにより、高い品質と信用が担保される。
※2 GeSI:Global e-Sustainability Initiative
欧州の情報通信事業者団体で、デジタル・サステナビリティの実現に焦点を当てた世界的な組織。

タンタルのサプライチェーンに関する取り組み

タンタル粉の生産者であるTANIOBIS GmbHでは、紛争地域および高リスク地域から原料を調達する際は、人権侵害への非関与がITSCI※3により保証されている原料を購入し、サプライチェーン・デュー・ディリジェンスを実施するなど、国際基準に基づくプログラムを厳格に運用しています。この取り組みの結果、紛争鉱物排除の対応が的確に取られていることが認められ、RMAP Conformant Smeltersリストに掲載されています。
また、2019年度からは原料サプライチェーンに関する国際的な監査機関であるRCS Global Groupが提供するBSP(Better Sourcing Program)により、ITSCIと同様のサプライチェーン・デュー・ディリジェンスのシステムを運用しています。

※3 ITSCI:ITRI Tin Supply Chain Initiative(錫サプライチェーンイニシアティブ)
錫のグローバルな業界団体であるInternational Tin Research Institute(ITRI)による活動。OECDの指針に基づき、鉱山から精錬所までのデュー・ディリジェンスの実現や、武装勢力との関わりを持たない紛争地域の鉱山からの調達の促進などを目指している。

ホワイト物流への賛同表明

当社は2020年4月末に、政府が開始した「ホワイト物流」推進運動への参加を表明しました。トラック運転者不足や高齢化が深刻な問題となる中、物流部門主導のもと全社をあげて取り組みを進めています。

サプライチェーンにおける人権への取り組み

当社グループでは、取引先に対して「調達基本方針」に基づき、労働者の権利確保、雇用・職業における差別の有無、強制労働や児童労働の有無、紛争鉱物への対応等について確認を行っています。また、2019年度からはサプライチェーン全体で、人権の尊重、労働安全衛生、コンプライアンス、環境保全などの取り組みを実践し、社会的責任を果たしていくために、「CSR調達アンケート」を開始しました。調査結果に基づき、取引先へのフィードバック等を行いながら、サプライチェーンにおいて人権侵害が起きないよう注意していきます。

VOICE
物流担当者の声

日本では近い将来の労働力減少が危惧されている中、トラック運送業や内航海運業でも労働力減少や高齢化が顕著になっており、物流への影響が懸念されています。当社は国交省が推奨するホワイト物流に賛同し、2020年4月に自主行動宣言を行い、そこで挙げた7つの課題に取り組んでいます。2020年度は、各物流担当が現場の再点検や取引先への詳細調査を行いました。運送業者への委託業務に対する適切な料金設定についての再検討をはじめ、安全対策、輸送効率改善などを中心に121件の課題を抽出し、それぞれにおいて各事業所の物流担当者を中心に社内外関係者と協議の上、77件の改善を実現しました。磯原工場の物流ポート周辺エリアのリニューアル計画や、大分リサイクル物流センター立ち上げなどの大規模な設備投資計画にもホワイト物流の観点から、ドライバーの待機時間解消や車両の接触防止の安全対策などを盛り込みました。これまでドライバーの安全考慮や自主荷役の解消など積極的な改善をしてきましたが、これからもホワイト物流の活動を通じて、物流業界の事業環境改善につながるよう努めてまいります。

JX金属(株)
物流部

鴛田 聡一

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