2020年度からの中期経営計画は、2019年5月に策定した「2040年JX金属グループ長期ビジョン」で掲げる「技術立脚型企業への転身」を見据えた種まきをする3ヵ年と位置付け、新たな成長領域への取り組みを加速しています。それぞれの事業特性に応じた施策や人材開発、組織風土づくりなどを推進し、「自律性」「機動性」「独立性」をより高めた企業運営を実行していきます。
「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」へ転身し、
激化する国際競争の中にあっても高収益体質を実現するとともに、
SDGsで目指す持続可能な社会の実現に貢献する
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銅をはじめとする非鉄金属は再生可能エネルギーや電気自動車(EV)の普及に欠かせない素材であり、脱炭素・循環型社会の実現に向けて需要が拡大しています。JX金属グループにおいては、これに対応すべく諸施策に取り組みました。
資源事業については、カセロネス銅鉱山におけるストライキの影響により生産量が減少したものの、銅価格の上昇を主因に増益となりました。金属・リサイクル事業については、原料である銅鉱石の買鉱条件が悪化した一方、貴金属価格が高値圏で推移し、また、硫酸国際市況が良化したこと等により、増益となりました。
機能材料事業および薄膜材料事業の各製品の販売量は、高機能IT分野での需要が堅調に推移したことから、概ね前期を上回りました。
当期のJX金属グループの営業利益は、金属価格の上昇および電子材料の増販等により、前期比102.6%増の1,582億円となりました。
売上高
営業利益
※ 在庫影響を含む
税引前利益
親会社株主に帰属する当期利益
総資産・総負債
社会トレンドが大きく変容する中、当社グループは従来通りのビジネスモデルを続けることに対する危機感から長期ビジョンを策定し、「技術立脚型企業」への転身を目指して舵を切りました。 2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響による産業構造の変化、SDGsやESG経営への機運の高まり、特にカーボンニュートラルに向けた社会的要請の動きが加速したと言えます。これを受け、当社グループは2022年8月、銅がカーボンニュートラルの実現に不可欠な脱炭素資源であることを改めて認識するとともに、サステナブルな銅の供給とその進化に向けた施策として「サステナブルカッパー・ビジョン」を策定しました。2022年度以降も当社グループを取り巻く環境は変化が続くことを踏まえ、このような社会の変化を的確に捉え、抜本的な組織文化の変革を目指します。
長期ビジョン策定時
先端素材に対するニーズの拡大 | IT、モビリティに加えて、ヘルスケア、エネルギー、建築などさまざまな産業でデジタルデータの活用が進展し、当該分野に用いられる先端素材のニーズがさらに拡大 |
国内市場の縮小/新興国を中心に持続可能な成長が課題に | 少子高齢化・産業空洞化などにより国内市場は縮小。経済成長の中心はアジアなど新興国にシフトするが、新興国でも顕在化し始めている環境問題への対応が課題 |
中間層拡大による資源不足・枯渇の深刻化 | 中間層の増加に伴い、消費される資源量も増加。良質・安価な資源は獲得競争の対象となり、資源不足・枯渇や地域的な偏在が深刻化 |
現在
先端素材に対するニーズの拡大 |
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気候変動対応の世界的な加速 |
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資源不足・枯渇の深刻化 |
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今回中計の策定時、営業利益目標を3ヵ年累計で1,700億円としていましたが、上述の事業環境を背景に、ベース事業、フォーカス事業ともに大幅な増益を見込んでいます。ベース事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響はあるものの、銅・貴金属・硫酸価格の上昇を主因に、中計策定時目標から1,920億円を上積みしています。フォーカス事業では、旺盛な需要伸長に伴う増販により、中計策定時目標1,000億円から430億円を上積みしました。こうした見通しのもと、引き続き全社をあげて収益ならびに財務基盤の確立に取り組みます。また、ESGに関連する指標も重要な経営指標として取り組みを推進していきます。
営業利益
2020年度実績 | 2021年度見通し | 2022年度見通し | 2020-2022 3カ年累計 | ||
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ベース事業 | 資源事業 | 349 | 721 | 800 | 2,873 |
金属・リサイクル事業 | 273 | 410 | 320 | ||
フォーカス事業 | 機能材料事業・薄膜材料事業他 | 311 | 545 | 570 | 1,246 |
事業共通費用 | ▲152 | ▲94 | ▲390 | ▲636 | |
合計 | 781 | 1,582 | 1,300 | 3,663 |
※ 2022年度見通しおよび3ヵ年累計見通しは、2022年5月時点のものです。
2020~2022年度中計では、先端素材の開発などに向け、3ヵ年で3,000億円を投資するとしています。そのうち1,600億円を設備能力の増強、新素材の開発やレアメタルの鉱山権益の探索など、将来の成長に向けた戦略投資に振り向けます。また、新たに200億円のESG投資枠を再定義し、脱炭素や資源循環などのESG活動の活性化を図っています。
投資計画3ヵ年累計 3,000億円
ベース事業 |
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フォーカス事業 |
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技術開発 |
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ESG経営 |
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組織・人材 |
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