銅精鉱とリサイクル原料から、製錬プロセスを通じて銅・貴金属・レアメタルなど高品質の金属地金を効率的に生産し、日本国内とアジア地域へ安定供給しています。銅精鉱処理の余剰熱を活用する「グリーンハイブリッド製錬」構想のもと、リサイクル原料比率(原料投入比率もしくは製品中の含有比率)を2040年に50%以上とすることを目標に、持続可能な資源循環型社会の構築に取り組みます。また、焼却・溶融技術を用いた産業廃棄物の無害化処理事業は、埋立処理を必要とする二次廃棄物を発生させない「ゼロエミッション」を目標としています。
JX金属(株)
取締役常務執行役員 金属・リサイクル事業部長 技術本部副本部長
安田 豊
当期は、カセロネスをはじめとする当社権益保有鉱山の銅精鉱と資源循環に資するリサイクル原料の増処理に取り組み、各製造拠点の競争力強化に努めました。
リサイクル事業では、2021年3月に台湾の彰濱リサイクルセンターの処理能力を従来比2.4倍に引き上げ、佐賀関製錬所の近隣に大分リサイクル物流センターを新設しました。加えて、前処理設備の増設を進め、2022年4月より操業を開始しました。また、レアメタルの回収増にも努めました。一方、新型コロナウイルスの影響による電気・電子廃棄物の排出減と物流の混乱・運賃高騰により、リサイクル原料輸入が減少しましたが、国内や近隣地域からの集荷に努め、影響を最低限に留めました。
金属事業では、硫酸需給がタイトとなり、特に輸出価格は高水準で推移しました。銅価は期を通じて高値となりました。原料鉱石の購入条件は、期初は低位でしたが、新規鉱山の順調な生産立ち上げ等を背景に、次第に回復しました。
JX金属(株)
取締役常務執行役員 金属・リサイクル事業部長 技術本部副本部長
安田 豊
佐賀関製錬所をはじめ、全事業所で安全・安定操業を継続します。一方、原料鉱石の購入条件改善が見込めない中で、製錬・リサイクル事業のトータルベスト追求と生産性改善による収益最大化を図ります。具体的には、リサイクル原料の増処理に向けた佐賀関製錬所における設備増強、北米カナダのリサイクラー(eCycle Solutions Inc.)買収をはじめとするリサイクル原料の増調達への取り組みにより、高マージン原料の増処理および収益ベストフィードミックスを追求します。
加えて、CO2ネットゼロに向けた取り組みを進めるとともに、サプライチェーンを俯瞰した拠点間物流効率化による業務改善とコストダウン推進等、事業のさらなる強靭化とSDGs・ESGの実現を目指します。
国内では、新たなリサイクル原料の集荷拠点である「JX金属製錬(株)大分リサイクル物流センター」(大分市の大分港大在西地区)を設立し、2021年10月より稼働しています。また、リサイクル原料前処理設備であるキルン炉をJX金属製錬(株)佐賀関製錬所に増設し、2022年1月より試運転開始、2022年4月より本稼働に至りました。一方、海外では、2022年度に前述のeCycleを買収し、海外拠点を活用したリサイクル原料増調達を進めています。これらの取り組みによる一層のリサイクル原料取扱量増を通じて、持続可能な資源循環型社会の構築に貢献するとともに事業の競争力強化を図っていきます。
大分リサイクル物流センター