チタンは、軽量・高強度・高耐食という特性を持つ金属であり、航空機や海水淡水化プラント、発電プラントなど幅広い分野で利用されています。当社グループの東邦チタニウム(株)では、チタン製錬や、その関連材料・技術を用いた触媒(プロピレン重合用)、化学品(積層セラミックコンデンサの内部電極・誘電体材料等)の製造などを行っています。
東邦チタニウム(株)
代表取締役社長 社長執行役員
山尾 康二
チタン事業については、コロナ禍で大幅に落ち込んだ航空機向け需要が回復したほか、一般工業向け需要も回復の兆しが見られ、堅調に推移した半導体用途と合わせ、販売は前年度に比べ大幅に増加しました。一方、収益面では原料鉱石、副資材、輸送コストの高騰によるコスト上昇が著しく、マージンを大きく圧迫する状況が続きました。触媒事業の販売は、主要製品であるプロピレン重合用触媒の需要は堅調であり、前年度を上回る水準となりました。化学品事業の販売は、主要製品であるニッケル粉の主な用途である積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)が、コロナ禍影響による需要減退から回復したことに加え、5G通信や自動車関連の需要増等により前年度を大幅に上回る水準で推移しました。
東邦チタニウム(株)
代表取締役社長 社長執行役員
山尾 康二
チタン事業は、引き続き航空機向け需要の回復継続を背景とした需要増にロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンへの影響に伴う代替需要が加わっており、一般産業用途、半導体用途向け高純度チタンの需要も引き続き堅調に推移する見通しです。国内拠点のスポンジチタン設備稼働率は既にほぼフル生産となっていることから、関係会社であるサウジアラビアのスポンジチタン製造合弁会社の生産量引き上げにより、需要の増加に対処していきます。触媒事業については、ポリプロピレン需要は好調に推移するものと想定しており、2022年11月からは新工場の稼働により、販売量は増加する見込みです。化学品事業は、足元のMLCC需要が半導体不足や流通在庫の積み上がりにより、一時的に調整局面となっていますが、徐々に解消し成長軌道に回帰するものと想定しています。
ニッケル粉は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の内部電極材料として使用されています。電子機器の高機能化、IoT、自動車電装化や5Gの実用化等によるMLCCの需要拡大に伴い、ニッケル粉の需要も増加しています。東邦チタニウム(株)においては、需要拡大が期待される小型・大容量MLCCに対応できるニッケル粉の供給体制を強化するため、若松工場に新工場(第4工場)を建設しました。今後も市場の伸びを上回る成長を目指します。
若松工場(福岡県)のニッケル粉新工場