社会が大きく変化していく中で事業を遂行し、長期的に企業価値を高めていくためには、ステークホルダーの皆様からの信頼を得ることが不可欠です。当社グループでは、コンプライアンスの徹底やリスクマネジメント活動の推進などにより経営の健全性と透明性を高め、ガバナンスの強化に努めています。
評価: 達成・順調 未達
KPI | 2022年度実績・進捗 | 評価 |
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全社的リスクマネジメント 体制の着実な運用 |
当社グループでは、リスクマネジメントのガイドラインである「ISO31000」 を参考にして構築した全社的リスクマネジメント(ERM)に基づく活動に取り 組んでいます。2022年度は、ERMを企業価値の向上により資する取り組みと するべく、「JX金属グループのERMのあるべき姿」を策定しました。あるべき 姿の達成に向けて、外部機関の成熟度モデルを活用し、現状とのギャップ を分析した上で対策となる施策を企画・実行し、ERMの仕組みの改善を実施し ました。 |
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事業特性・社会動向等を踏まえた コンプライアンス研修の実施 |
当社グループでは、役員・従業員のコンプライアンス知識・意識向上を目的と して毎年度コンプライアンス研修を実施しています。2022年度も例年実施して いる階層別のコンプライアンス研修のほか、事業特性や社会動向等を踏まえ、 国内外でハラスメント研修・下請法研修などを実施しました。 |
当社グループは、変化の激しい事業環境を的確に捉え、意思決定と業務執行の迅速化を図るとともに、公正で透明性の高い経営の実現を目指し、ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
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法令および定款に定められた事項、その他経営上の重要事項を審議するため、取締役会を設置しています。当社の取締役会は、監査等委員でない取締役7名(男性6名、女性1名)および監査等委員である取締役5名(男性4名、女性1名)の12名で構成されています。法令および取締役会規則に基づき、取締役と会社の利益が相反する取引については、取締役会の承認を得ることとしています。
当社は、取締役会の監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図るため、2023年6月28日付で、監査等委員会設置会社へ移行しました。
監査等委員会は、取締役の職務の執行の監査および監査報告の作成など、法令、定款等で定められた権限を有しています。また、重要書類の閲覧や当社およびグループ会社の役職員との面談により、それぞれの職務の執行状況を把握することに努めています。さらに、監査部および会計監査人から、監査計画およびその実施状況や結果について定期的に報告を受けるとともに、意見・情報の交換を行うなどの連携を図っています。
社長の諮問機関として当社経営上の重要事項について協議を行うとともに、業務執行状況などに関する報告および連絡を行うため、社長および社長が指名した執行役員により構成された経営会議を設置しています。
昨今のガバナンス、内部統制強化の社会的要請の高まりの中、外部の視点によるチェック機能に加え、新しい視点からの判断や新しい刺激を取り入れるべく、社外取締役を登用しています。2023年6月現在、取締役12名のうち5名(監査等委員でない取締役2名、監査等委員である取締役3名)を社外取締役としています。
グループ会社については、各社の事業に応じて、当社の事業部門・技術部門・コーポレート部門を所管部署として定め、業務執行の管理・監督を行っています。グループ会社における経営上の重要事項については、所管部署を通じて当社に報告され、適宜、当社の取締役会、経営会議などの重要会議に付議・報告されます。
監査等委員でない取締役については、高い職業的倫理観を持ち、戦略的な思考力・判断力に優れ、かつ、変化への柔軟性等を有し、グループ全体最適の観点から意思決定と経営の監督ができる者を選任しています。
監査等委員である取締役については、高い職業的倫理観を持ち、法律・財務・会計等について一定の専門的な知識を備え、取締役の職務執行を適切に監査するとともに、業務執行について適切に監督できる者を選任しています。
当社の役員報酬は、役割に応じて毎月支給される定額報酬および業績に応じてその額が変動する賞与で構成されています。賞与については、当社およびENEOSホールディングスの連結業績にリンクして決定されます。退職慰労金制度は導入していません。また、2017年7月より株式報酬制度を導入しています。株式報酬制度とは、役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託を採用し、取締役および執行役員(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)に対し、報酬の一部として、その役割および業績に応じて、ENEOSホールディングスの株式を交付するものです。株式報酬制度については、「中長期的な経営戦略と対象者の報酬制度の連動性を一層高めること」「対象者の企業価値向上への貢献意識および株主重視の経営意識を醸成すること」および「環境保全をはじめとした持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進すること」を理由に、次の業績指標を採用しています。
当社グループでは、「内部統制システム整備・運用の基本方針」を定め、これに基づき、業務の効率性と適正を確保するための内部統制システムを構築し、当社の各部門より内部統制活動状況に関する報告を受けるとともに、主要グループ会社を対象に内部統制システムの整備・運用状況調査を実施しています。内部統制システムの整備・運用状況については、原則として年1回、経営会議においてモニタリングし、各社の事業特性を勘案しつつ、当社グループ全体としての内部統制システムの継続的な改善を図っています。
当社グループでは、グループ全体を対象範囲として、経営管理の状況、業務の遂行状況、資産の保全状況を、合法性・効率性・有効性の観点から調査・検討・評価する内部監査を実施しており、その主管部として監査部を設置しています。
当社監査部は、概ね3年程度の中期における方針および各年度の計画を策定し、計画的に内部監査を実施しています。グループ会社の内部監査は、当社からグループ会社に派遣されている監査役とも連携・協力して行われ、その結果、必要に応じて改善提言がなされ、その対応状況のフォローアップが行われます。監査結果等は、対象会社のほか当社社長に報告され、適宜経営会議に報告されます。
当社グループでは、「企業行動規範」および「JX金属グループ コンプライアンス基本規則」において、コンプライアンスを国内外の法令、ルール等の遵守のみならず社会規範・企業倫理に即して行動することとし、コンプライアンスを重視した企業活動を行っています。
コンプライアンスは、当社グループが社会の一員として、多様なステークホルダーの期待に応えて価値を創造し続けていく上での大前提であるとの考えのもと、各種コンプライアンスに関する社内規程を定めるとともに、年度ごとに「コンプライアンス重点目標」を定め、運用状況の実態把握を行っています。体制面・運用面に課題が確認された場合には改善を図るなど、信頼される企業グループであり続けるための各種取り組みを継続しています。
当社グループのコンプライアンスに関する諸施策は、当社の各部門および国内外の主要グループ会社の担当役員などをメンバーとする「コンプライアンス委員会」(原則、年2回開催)で決定しています。コンプライアンス委員会では、当社の各部門および各グループ会社からコンプライアンスに関する状況報告を受け、これらの報告をもとに事業運営に関わる不正行為、法令違反などのリスクを評価し、重点課題の設定や教育計画の策定などに反映させています。
当社グループでは、内部通報制度の信頼度を高めるため、受付窓口を外部機関に委託し、匿名での通報を受け付けています。また、グループ内における周知を図るべく、各事業所での「制度紹介ポスター」の掲示、社内ポータルサイトにおける専用ページの開設、および各種コンプライアンス教育での制度紹介などを実施しています。
2022年度は7件の通報を確認し、すべての案件について通報者保護にも配慮しつつ、関連規則の定めに基づいて必要な対応を実施しました。
当社グループでは、反社会的勢力との関係遮断のため、「JX金属グループ 反社会的勢力対応基本規則」および「JX金属グループ 反社会的勢力対応細則」に基づき、取引先およびその関係者への所定調査を定期的に実施すること、状況に応じて取引関係を解消するための契約措置を事前に講じることなどを含む反社会的勢力排除のための体制を構築しています。また、当社グループ各社の役員・従業員による贈収賄防止関連法令への違反行為または違反の疑いを招く行為を防止するため、「JX金属グループ 贈収賄防止規則」に基づき、公務員等に対し接待・贈答等を行う場合に所定の確認を実施すること、一定の場合に責任者の承認取得を要することなどを含む贈収賄防止体制を構築しています。
2022年度もこれら規則に基づき運用状況の確認を行い、概ね適正に運用されていることを確認しました。(腐敗行為について規制当局からの不利益処分はありませんでした。)
当社グループでは、競合する事業者との集まりや競争法への抵触可能性がある取引の際、事前に所定の確認を実施すること、一定期間ごとに責任者から事務局への定期報告を実施することなどを含む「競争法遵守プログラム」を構築しています。 2022年度も同プログラムに基づき運用状況の確認を行い、概ね適正に運用されていることを確認しました。(反競争的行為について規制当局からの不利益処分はありませんでした。)
環境・安全関係の法令遵守状況の確認のための総点検を、 2022年度は当社グループ2事業所を対象に実施しました。環境関連法規制・労働安全衛生関連法規制は、概ね網羅的に把握されており、重大な認識漏れは見受けられませんでした。指摘事項についても適切な対応を図っています。
人事・労務関係の法令遵守状況の点検を、2022年度は当社グループ9事業所を対象に実施し、概ね適正に運用されていることを確認しました。
当社グループでは、役員・従業員のコンプライアンス知識・意識向上を目的とした教育の充実を図っており、事業特性や社会動向を踏まえ、国内外でさまざまなコンプライアンス・法令研修を行っています。
2022年度は、例年実施している階層別(役員、管理職、新入社員等向け)のコンプライアンス研修のほか、テーマ別の法令・法務教育として、内部統制、安全保障貿易管理、ハラスメント、下請法、印紙税法、情報セキュリティ等についての研修を実施しました。海外拠点においても、事業特性や社会動向等を踏まえ、赴任者向け教育を本社または拠点主催にて実施したほか、米国、ドイツおよび中国拠点においては、主にナショナルスタッフ管理職を対象とし、当社グループにおけるコンプライアンス体制や、競争法遵守・贈収賄防止等の重要法令についての講義を弁護士や法務スタッフ等が講師を務めて実施し、受講者にとってコンプライアンスに関する理解を深める機会となりました。
今後も、法改正の動向や地域性等を踏まえ、国内外でのコンプライアンス研修の検討・実施を継続していく予定です。
方達法律事務所 孫海萍弁護士による中国コンプライアンス研修
(JX金属(上海)企業管理有限公司にて)
当社グループでは、事業活動を行う国・地域において、納税義務を適正に履行することは、企業が果たすべき重要な社会的責任の一つであるとの認識のもと、「ENEOSグループ 税務ポリシー」の定めに準じて、税務コンプライアンス意識の醸成を図るとともに、税務ガバナンス体制の維持に努めています。
当社では経理部が税務を所管し、経理部担当執行役員の管理・監督のもと、税務に関する職務を遂行しています。また、税務に関する事項も含め、内部統制システムを構築・整備し、これを適正に運用し、税務ガバナンス体制の整備・運用に努めています。税務に関する重要な事象が発生した際には、経営会議等に適時・適切に報告しています。
当社は、外部専門家に対する相談や税務当局への事前照会を積極的に活用し、税務リスクの低減に努めています。税務当局に対しては、適時・適切な情報提供を行い、誠実かつ協力的な対応を取ることで適切な税務の履行に努めています。また、当社は日本鉱業協会に加盟し、同協会を通じて、行政機関に対して税制改正等に関する情報収集や意見表明等を行っています。
当社グループは、知的財産権を重要な会社財産であると認識し、その権利の保護と活用に努めています。また、他社の知的財産権を尊重し、侵害しないように努めることを「JX金属グループ 知的財産に関する基本方針」に明記しています。また、新製品・新技術の研究・開発にあたっては事前調査を行い、知的財産権を侵害しない製品づくりに努めています。
知的財産戦略の基本方針事業を取り巻くさまざまなリスクに関して、将来予測や内外の環境変化を踏まえて特定・分析および評価を行い、回避・低減・移転・保有等 の対応を実施しています。また、その状況をモニタリングすることで、適切にリスクを管理し、当社グループの経営を支えることを目標に以下の原則に従いリスクマネジメントを推進しています。
当社グループでは、JX金属経営会議において、重要リスクの決定、各重要リスクの対応計画の承認、およびそれらのモニタリングを実施しています。また、当社総務部のリスクマネジメント室が、「当社および当社グループのリスクマネジメントの総括に関する業務」を分掌し、全社的リスクマネジメントの推進を担っています。
当社グループでは、リスクを「JX金属グループ各社の経営に影響を与える一切の不確実性」と定義し、長期ビジョン、中期経営計画、事業計画に紐づいたリスクマネジメントを実現するために「経営リスク」と「事業リスク」に区分けしています。また、「経営リスク」と「事業リスク」のうち、当社グループの経営に甚大な影響を与え、全社横断的に対応すべきと判断されたリスクを「重要リスク」として経営会議にて決定しています。「重要リスク」は、事業継続に関するリスクおよびサステナビリティに関する気候変動や人権リスク、地政学リスク等が選定され、重要リスク所管部署が主体となりリスク対応を実施しています。また、経営会議が、その対応状況をモニタリングしています。
2022年度は、当社グループの全社的リスクマネジメント(ERM)の取り組みをさらに高度化させるため、「JX金属グループのERMのあるべき姿」を策定しました。あるべき姿の達成に向けては、Risk Management Society®(RIMS※)に加盟し、同団体が発行している成熟度モデルを活用の上、各種施策を企画し実行しました。また、ERMの最新潮流に関する知見の入手や同団体および会員企業とのネットワーク構築等を行い、そこから得た知見を各種施策に反映させています。今後もERMの高度化に向けて、同成熟度モデルを活用しながら、リスクマネジメント体制の適切性・妥当性を評価し、課題を洗い出し、継続的な改善に取り組んでまいります。
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リスク対応とは、リスク評価の結果をもとに、当該リスクへの適切な対応(回避・低減・移転・保有)を選択し、実行することです。リスク低減策を講じてもなお、当社の事業活動に甚大な影響を及ぼす恐れのあるリスクに対しては、リスク移転の手段の一つとして「保険」の活用があります。当社では「保険」の有用性を高めるべく、2022年度は火災等の特定リスクにおける予想最大損失額の算定とそれに基づく保険設計に、関係部署と一体となって取り組みました。今後はこの取り組みの範囲を拡大してまいります。
当社グループでは、全社的なリスクマネジメントへの理解促進とリスク感性の向上を目的として、階層別にリスクマネジメント教育を実施しています。2022年度は、経営層を対象に、リスクマネジメントと経営・事業戦略の統合に関する議論の場を設けるべく、当該分野の外部専門家による講演とグループワークを実施したほか、コーポレート部室長向けには、経営リスク選定前に、グローバルリスクのトレンドを踏まえたリスクシナリオの策定研修を実施し、より中長期的な目線で経営へ影響を及ぼすリスクを網羅的に洗い出しました。
また、全社員にリスクマネジメントを浸透させることを目的として、リスクマネジメントに特化した社内報を定期的に発行し、トップメッセージや各組織の取り組み事例を紹介しました。また、基礎知識の補完として「リスクマネジメントのきほん」をテーマにオリジナルのマンガ教材を作成し、連載形式で展開しました。今後も役員・社員からのフィードバックも参考にしながら、リスクマネジメントの浸透に取り組んでまいります。
当社グループでは、大地震による事業中断を想定し、被害の極小化、早期復旧を図るための事業継続計画(BCP※1)を策定しています。
2020年度からは、これをさらに高度化し「リソースベースBCP」というオールハザード型BCPの構築に向けて取り組みを開始しました。これは、地震や水害といった事象ごとのBCPではなく、非常事態時に事業活動の阻害につながる可能性の高いリソース(設備、原料、資材など)に着目し、その減災対策や復旧対応の整理を行うものです。あわせて主要拠点の立地上の災害発生リスクを定期的に調査し、被害の未然防止に向けた対応や設備投資などの判断に役立てる活動も実施しており、これらの取り組みを通じて、BCPの強化を目指しています。また、自然災害発生時の効率的かつ確実な情報共有手段を確立するなど初動対応のさらなる改善にも継続して取り組んでいます。
今後も定期的な訓練を通じてBCPの実効性確認と改善を進めることで、事業継続マネジメント(BCM※2)を進めてまいります。
当社グループでは情報セキュリティに関するコンプライアンスの強化、お客様からの信頼性向上、社内外における情報利活用の3つの観点から、ISO27001に準拠した情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の体制構築を進めています。2022年度には、情報セキュリティ統括責任者が承認した計画に則り、各部署での情報セキュリティのリスクアセスメントや内部監査、階層別研修、サプライヤー管理を実施しました。また、当社グループ内における情報セキュリティの対策および意識を確固たるものにすべく、本社、事業所に加え、グループ会社への適用も進め情報セキュリティをより強化するための体制を整備しています。
情報セキュリティ統括責任者の指示のもと、さらなる情報セキュリティの高度化に取り組み、情報システム部門が実施しているサイバーセキュリティ対策との連携を図りつつ、長期ビジョンに掲げる「技術立脚型企業」の実現に貢献するため、ISMSに則り継続的改善を進めていきます。
JX金属グループは、非鉄資源と先端素材の安定供給という社会的使命を担う企業として、お客様や取引先からお預かりした情報をはじめ、当社が保有する企業秘密・個人情報等を重要な資産と認識し、組織的かつ継続的に情報セキュリティの強化に取り組むため、情報セキュリティ基本方針を定める。
コロナ禍における働き方の変化、取引先からのセキュリティ対策強化の求めに対応し、当社グループではゼロトラストの概念に基づいた自社ネットワークの刷新を進めています。これは、現時点では最先端のクラウド型セキュリティサービスを活用し、従来のインターネットとの境界型ネットワークでは実現できないセキュリティ管理を端末、ユーザーレベルで可能とするもので、グループ全体のセキュリティレベルが均質的に底上げできます。既に、JX金属本社および事業所等で稼働を開始しており、国内外のグループ会社に順次、展開を進めていきます。
DX基盤の強化(ゼロトラストネットワーク)当社グループは、社会の持続可能な発展に貢献するため、非鉄資源と素材を安定的に供給することが社会的使命であると認識しています。この考えのもと、サプライチェーン全体を通じて品質管理レベルの向上を目指しています。
私たちJX金属グループは、社会の持続可能な発展に貢献するため、非鉄資源と素材を安定的に供給することが社会的使命であると認識し、本品質基本方針を定めて行動します。
当社グループでは、品質基本方針の実現に向けて、品質マネジメントシステム(QMS:Quality Management System)を構築・運用しています。QMS の運用においては、より良い品質の実現を目指して、PDCAサイクルを着実に回し、継続的な品質改善活動に取り組んでいます。その一環として、QMS第三者認証(ISO9001等)を国内・海外を問わず取得しています。
また、当社グループでは、経営層が出席する「品質マネジメント会議」を設置しており、品質改善活動の状況をレビューし、活動計画を策定しています。さらに、品質マネジメントに関する情報を各拠点の担当者へ共有する場として、「品質担当者会議」を毎年2回開催しています。ここでは、品質マネジメント会議で決定された活動計画を伝達するとともに、各拠点で抱える課題や優れた実践事例の共有や、担当者同士の交流を行っています。さらに、内部品質監査の有効性向上、検査の自動化、品質管理人材の育成強化などにも取り組んでいます。
品質担当者会議
品質担当者会議
【国内】
【海外】
当社品質管理部は、グループ全体の品質管理の強化に係る企画・立案・推進およびその総括に関する業務を担っており、全社QMS要求事項の明確化、内部品質監査の有効性向上、製造拠点における品質改善活動の支援、品質管理業務のDX推進や品質管理教育の開講といった取り組みを実施しています。
2022年度は、各拠点の新型コロナウイルスへの対策(ガイドライン)に沿って、海外8拠点、国内12拠点の計20拠点に対し、対面により内部品質監査を実施しました。
現場確認の様子
現場確認の様子
2022年度は、当社グループ製品の欠陥が原因で生じた人的・物的損害に対して、製造物責任法に基づく賠償責任問題の発生はありませんでした。
当社グループでは「品質基本方針」に則り、製品仕様書、 SDS※等を通じてお客様に対して製品およびサービスに関する情報提供を行っています。例えば、当社グループ会社が販売する硫酸は、国内の毒物及び劇物取締法で劇物に指定されていますが、当社グループでは、取引先を毒物劇物販売業者に限定し、またSDSを交付することで、商品をお客様へお渡しした後に、お客様やその労働者に対し、労働安全衛生上の重大なマイナスの影響を防止するよう努めています。
品質保証の徹底には、サプライヤーとの協力関係が不可欠です。当社グループではサプライヤーに対し、品質管理基準・品質要求事項に基づき、定期的な評価および品質監査を実施し、品質リスクの低減やサプライヤーの品質レベルの向上などに取り組んでいます。また、サプライヤーとの相互理解の促進を図るため、「サプライヤーアンケート」を実施しています。
当社グループでは、品質管理教育を通じ、品質基本方針の周知徹底を図っています。また、品質管理レベルの底上げを図るために、全従業員を対象として、問題原因を論理的に推定して自ら課題を見つけ解決する、問題解決能力の向上と、業務品質の向上を目指す研修プログラムを実施しています。この研修プログラムは、入門コースから上級コースまで受講者のレベルに応じたものがあり、職能レベルや入社年度に応じて計画的な受講を進め、社員教育の一つとして定着しています。
当社品質管理部では、 2020年度から内部品質監査員の力量向上を目指し、QMS審査員などの資格取得を奨励し、外部講師による振り返り研修等を導入しています。
品質管理教育の様子
品質管理教育の様子