マテリアリティ2 くらしを支える先端素材の提供

マテリアリティ2

くらしを支える先端素材の提供

主なベースメタルの一つである銅、および各種レアメタル・貴金属は、その優れた特性から電子機器の進化を支えてきました。当社グループは、これらの素材の技術的合理性や効率性、品質・特性のさらなる向上を追求し、今後到来するデータ社会やIoT・AI社会を支える製品・技術をいち早く社会に提供していきます。

主な取り組み
先端素材の開発

先端素材の開発

DX

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

オープンイノベーションの推進

オープンイノベーションの推進

開発のための体制構築と開発人材の育成

開発のための体制構築と開発人材の育成

次世代育成の取り組み

次世代育成の取り組み

KPIと進捗状況

評価: 達成・順調 未達

KPI 2022年度実績・進捗 評価
IoT・AI社会に必要とされる
先端素材の開発
伸びゆく需要を捉えるための新工場建設や用地取得を含む能力増強計画やサプ
ライチェーンの強靭化施策を相次ぎ発表しました。また、2021年度に引き続き
企業や大学との連携を通じたオープンイノベーションを推進し、IoT・AI社会
に必要とされる先端素材の開発に取り組みました。
技術立脚型経営を支える
体制の構築
技術立脚型経営に向け、革新的な技術や製品を継続的に生み出すことを目指
し、開発のための体制を構築するとともに、新たなイノベーションを生み出す
開発人材の育成、人材の多様化の推進等に取り組みました。

先端素材の開発

当社グループは、持続可能な社会の発展に貢献するべく、蓄積されたコア技術の進化・活用と、外部リソースとの共創を通じ、イノベーションに不断に挑戦していきます。

特集1 先端素材を通じた社会の発展への貢献

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

2040年長期ビジョンに描いたあるべき姿「技術立脚型企業」の実現に向けた事業基盤の確立を目指し、各事業部・コーポレート部門での最適化・自動化施策の実施、それらを下支えする技術本部各部での新技術活用・全社横断的な施策などを通して、DXを推進しています。

JX金属のDX体系

※1 SCM(Supply Chain Management ):原材料の調達から製造、販売までを一元管理し、全工程を最適化するための管理手法
※2 IPL(Intellectual Property Landscape ):知財情報解析を活用して経営に活かすこと
※3 ERP(Enterprise Resource Planning ):人的資源や物的・金銭的リソースを統合的に管理することにより、経営全般の効率化・最適化を図る考え方

IoT・AI6ヵ年計画の実行

2017年より「IoT5+1ヵ年計画」を推進し、IoTやAIの活用を進めてきました。2023年度からは新たに「IoT・AI6ヵ年計画」として、これまで取り組んできた情報のデジタル化(デジタイゼーション)やプロセスのデジタル化(デジタライゼーション)に加え、事業変化を踏まえたサプライチェーン全体の最適化、競争基盤の強化、お客様への価値創出、脱炭素をはじめとしたESGへの対応など領域を拡大し、DXのさらなる推進を図っていきます。これまで同様、「技術本部」を総括組織とし、事業部ごとに設けた分科会が主導で施策を展開、「情報システム部デジタルイノベーション担当」が推進事務局として各種施策の展開・技術支援を行う体制で推進していきます。

IoT・AI 6ヵ年計画

DXを支える基盤

最新技術の探索

量子アニーリング技術を活用した最適化計算技術の計画業務への適用、AIカメラを用いた人検知技術など、さまざまな最新技術の検証・運用への適用可否検討を、実証試験を通して取り組んでいます。

量子アニーリングを用いた生産計画のイメージ

さまざまな制約条件などを組み合わせた高難易度の計画業務に最適化技術を適応させることで、ベテラン担当者のスキルに依存した作業の属人化防止・作業効率化を図る

AIカメラを取り付けたフォークリフトによる、人の自動検知の実証試験

全方位にAIカメラを取り付け走行経路上の人物をAIによって自動検知することで、工場内の安全対策をより強固で確実なものとする

DX基盤の強化(ゼロトラストネットワーク)

コロナ禍における働き方の変化、取引先からのセキュリティ対策強化の求めに対応し、当社グループではゼロトラストの概念に基づいた自社ネットワークの刷新を進めています。これは、現時点では最先端のクラウド型セキュリティサービスを活用し、従来のインターネットとの境界型ネットワークでは実現できないセキュリティ管理を端末、ユーザーレベルで可能とするもので、グループ全体のセキュリティレベルが均質的に底上げできます。既に、JX金属本社および事業所等で稼働を開始しており、国内外のグループ会社に順次、展開を進めていきます。

ゼロトラストモデルを活用した次期ITインフラ
DX人材育成

2019年度よりデジタル人材のリソース増強と育成強化に取り組んでいます。データサイエンティスト教育では、若手社員には初級、中堅社員には中級のプログラムを実施するなど、社員それぞれのレベルに応じた研修プログラムを拡充してきました。2022年度には全社員対象のリテラシー教育を、2023年度には事業所でのワークショップを開始しました。
また、東北大学との共同研究や滋賀大学大学院データサイエンス研究科への社員派遣等、教育機関との連携も強化し、DX教育のレベル向上に取り組んでいます。

オープンイノベーションの推進

当社グループ各社が持つ独創的な技術とのコラボレーションや、大学など研究機関との共同研究、外部企業とのパートナーシップなど、さまざまな形での共創を推進し、新しい技術・価値の創造ができる体制の構築を目指しています。

北米のベンチャーキャピタルファンドに出資、スタートアップとの協業を加速

当社は、カナダ・アメリカに拠点を置くPangaea Venturesが運営するベンチャーキャピタルファンド「Pangaea Ventures Impact Fund, LP」に有限責任組合員(Limited Partner)として出資しました。本ファンドは、革新的技術を有するスタートアップ企業への投資を通じて、2030年までにCO2を5.5億トン削減といった、脱炭素、気候変動、水資源などの社会課題の解決に貢献することを目的に設立されており、北米地区の先端素材系およびハードテック系スタートアップに関する豊富なネットワークを持っています。
本出資を通じ、優れた技術を有する北米スタートアップ企業との協業へとつなげ、北米におけるオープンイノベーションや新規事業開発の推進を加速します。

独企業に出資、金属ナノワイヤーで協業

当社は、ドイツのスタートアップ企業であるNanoWired社への出資を決定しました。同社は、IoT、AI等先端研究が盛んなドイツ国内において、さまざまな基板上に直径1um以下の微細な金属ワイヤーを成長させる技術およびこの製造装置の開発を手掛けています。基板上にナノワイヤーを成長させると、一般的なはんだ等を用いた接合技術と比べて低温・短時間かつ高密度での接合が可能となり、高い熱伝導性と接合強度を得ることができます。
当社は本出資を通してNanoWired社との関係強化を進め、さまざまな形で協業を進めていきます。一例として、ナノワイヤーの成長プロセスに必要となる銅箔やめっき原料など各種素材の提供や、今後ますます成長が加速することが見込まれる半導体実装分野など、将来の社会トレンドを見据えた共同開発、当社製品へのナノワイヤーの技術の応用などを検討します。

金属表面に生成されたナノワイヤー

「日独イノベーション・イニシアチブ160」プレイアップイベントにて講演

2022年12月5日、ドイツ・ベルリンにて開催された「日独イノベーション・イニシアチブ160」プレイアップイベントにて、当社とNanoWired社との協業を「ベスト・プラクティス事例」として紹介しました。
日独イノベーション・イニシアチブ160は、日本貿易振興機構(JETRO)とドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)が日独両政府および産業支援団体と協力して、日独修好通商条約締結から160周年を迎える2021年12月に発足した、気候変動などの地球規模の課題解決によるSDGsの実現を目指すイニシアチブです。発足後約1年を経て、当社とNanoWired社との協業を含む5事例がベストプラクティスとして選出されました。
当日は現地参加に加え、オンラインでも中継され、世界各国から100名以上の参加があり、盛況のうちに閉会しました。

フランクフルト事務所の土谷所長が講演

JX金属寄付ユニットの活動

近年、非鉄金属素材の安定供給へのニーズが高まっている一方で、国内の非鉄製錬・リサイクル関連分野の研究者・技術者は減少の一途を辿っています。こうした現状を踏まえ、当社では、東京大学生産技術研究所と協働して、新たな環境調和型リサイクル技術の開発とともに、それを担う人材の育成を目的とする組織「非鉄金属資源循環工学寄付研究部門(JX金属寄付ユニット)」を2012年より設置しました。
本ユニットは2022年1月に第3期(5年間)を開始しました。第3期では、非鉄金属産業の重要性と将来性に関する理解増進ならびに普及啓発活動をさらに進化させるとともに、SDGs実現に向けた諸活動や次世代育成活動としてSTEAM教育関連活動にも注力しています。

STEAM教育:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念。実社会での課題解決につながる論理的思考力や創造力を養うことを目的としている

第3期開始の記者会見にて
左から当社諏訪邉執行役員、当社谷常務執行役員、黒川特任教授、所特任教授、当社菅原副社長、岡部所長・特任教授、菅野特任教授、大内特任講師

2022年度「東京大学稷門賞」を受賞

JX金属寄付ユニットでの活動が評価され、2022年度「東京大学稷門賞」を受賞しました。「東京大学稷門賞」は2002年に設置された東京大学の顕彰制度で、ボランティア活動や寄付講座・研究部門等により、東京大学の活動の発展に大きく貢献した個人、法人または団体に対し贈呈されるものです。長年にわたり優秀な人材と高度な情報が全世界から集まる研究・交流、教育拠点の形成に大きく貢献している点が評価され、今回の受賞に至りました。

「稷門(しょくもん)」とは、中国の戦国時代における斉(現在の山東省)の首都の城門の名前。斉の王が学者を厚遇したことで斉の都に天下の賢者が集まり、学問が栄えたという故事に由来する

顕彰楯贈呈の様子(藤井輝夫 東京大学総長(左)と当社 村山会長(右))

JX金属寄付ユニット

メンバー(2022年度)

※役職等は2022年度時点のもの

特任教授岡部 徹

東京大学生産技術研究所 所長
持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター 教授

特任教授所 千晴

早稲田大学理工学術院 教授
東京大学大学院工学系研究科 教授
東京大学生産技術研究所 特任教授

特任教授黒川 晴正

東京大学生産技術研究所 特任教授

特任教授菅野 智子

東京大学生産技術研究所 教授、産学協創推進本部 副本部長
広報戦略本部公表戦略企画室長
弁理士

特任講師大内 隆成

東京大学生産技術研究所 講師
持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター 講師

(2023年4月から山中俊治 東京大学特別教授が特任教授として加わっています)

2022年度の主な活動

2022年11月18日
日本学術会議公開シンポジウム(JX金属寄付ユニット共催)なぜ SDGs? ~資源・材料循環におけるSDGsとカーボンニュートラル~

2023年1月6日
第10回 貴金属シンポジウム ~貴金属の製錬・リサイクル技術の最前線~

開発のための体制構築と開発人材の育成

当社グループでは、生産や開発分野でのDX対応や新規開発アイデア創出のプラットフォーム整備、開発プロセス管理の強化等を進め、脱炭素技術など革新的な技術や製品を継続的に生み出す仕組みの構築を進めています。加えて、当社の技術開発や技術立脚型の事業開発を担う人材の育成も進めています。

新規事業・技術開発の社内プロセスの強化

当社では、事業開発の管理体制として「ステージゲートプロセス」を導入しています。また、テーマ・アイデア創出のプラットフォームとして、「Idea Seed Bank」を設置しています。こうした取り組みは、全社的な技術戦略の企画・立案を行う専門部署である「技術戦略部」が担当しています。

ステージゲートプロセスの導入

新規開発テーマの推進にあたり、当社では開発プロセスを複数のステージに分割して審査を行う「ステージゲートプロセス」を導入し、新規製品・技術における中長期テーマの探索から事業化に向けた活動を行っています。このステージゲートプロセスを有効に機能させることにより、脱炭素技術など革新的な技術や製品を継続的に生み出す活動を推進しています。

アイデア創出のためのプラットフォーム整備

技術戦略部の取り組みの一つである「Idea Seed Bank(ISB)」は、社員のアイデア創出・育成を促すためのプラットフォームで、アイデアの着想支援から社内審査に向けたサポート、メンバー同士でのディスカッションなどが行われます。所属部署や拠点を超えた交流の場にもなっており、社員は刺激を受けながら自身のアイデアを形にしていきます。2021年8月にはISBで創出されたアイデアが事業部の開発テーマに承認される事例も生まれています。

技術戦略部主催の社内教育

技術戦略部ではIdea Seed Bankによる人材育成のほか、当社グループの一人ひとりが自分の担当以外の製品や当社を理解し、その上で部門を超えた事業部間の連携を促すための取り組みとして、横串勉強会を実施しています。横串勉強会では、各事業部の事業内容や製品・サービスについて全社員が学び、活発な質疑応答やディスカッションを行うことで、それぞれが当社グループのことをよく理解し、結果的に社外とのコミュニケーションの幅を広げることにつながっています。こうした取り組みにより、共創パートナー候補の発掘、新規開発テーマの探索、既存事業のさらなる拡大において活躍できる人材開発を進めています。

VOICE
ISBメンバーの声

ISBに入会してはみたものの、そう簡単に“新しいアイデア”なんて生まれないし、生まれたとしてもそれを実現するなんてとても……と思っていました。しかし、ISBではそれ以前に“新しいつながり”が待っていました。ランチミーティングでの楽しいおしゃべりからはじまり、アイデア発想法セミナー受講を経て、自部署の業務課題解決のアイデアをメンバーが一緒になって考えてくれました。これからも“新しい仲間”とともに、ワクワクする仕事をしていきたいと思います。

渋谷 紀充

JX金属(株)
NPM推進部

渋谷 紀充

知的財産戦略の基本方針

当社グループが目指す技術立脚型企業においては、知的財産が重要な資産となります。そこで「JX金属グループ 知的財産に関する基本方針」を2022年度に制定し、グループ全体で知財活動を推進しています。

JX金属グループ 知的財産に関する基本方針

私たちJX金属グループは、知的財産を重要な資産と認識し、技術立脚型企業として持続可能な社会の発展に貢献すべく、以下の方針に基づいて活動を行います。

1.
経営層・事業部門・技術部門・知財部門を含む全社的な連携により、経営戦略、事業戦略および技術戦略を反映した知的財産活動を行います。
2.
適切な知的財産権の取得およびノウハウの管理により、技術的な競争優位性を確立します。
3.
知的財産を介した連携により、社外の様々なパートナーとの共創を推進します。
4.
当社グループの技術および製品を守るために、当社グループが有する知的財産権に対して侵害の疑いがある場合には権利主張を含め適切に対応します。
5.
他者の知的財産を尊重し、他者の知的財産権を侵害するリスクに適切に対応します。

知財情報の活用を推進

当社グループでは、知財情報(特許情報など)を技術トレンド把握のためのビッグデータと捉え、侵害予防や特許性判断の目的だけでなく、さまざまな目的で活用しています。例えば、自社・他社の特許情報を事業情報、市場情報などと組み合わせて調査・分析を行うことにより(IPランドスケープ)、顧客ニーズ・技術動向の変化を先取りし、事業戦略の立案、開発テーマ創出、パートナー探索などに貢献しています。
また、知的財産担当者以外にも知財情報の活用を促進する取り組みも行っています。2022年度は、外部講師を招いて社内でワークショップを開催し、知的財産担当者とマーケティング担当者とで仮想事例を用いて模擬IPランドスケープを行いました。

ワークショップの様子

発明推進の取り組み

当社グループでは、特許法に従い、「職務発明の取扱いに関する規則」を制定しています。出願時および登録時の奨励金に加え、利益をあげた特許の発明者や優れた発明を考案した発明者を表彰する当社独自の制度を設け、開発および発明意欲を促し、技術立脚型の企業活動を推進しています。
2022年度は、新規銅箔の開発、銅箔の生産性向上、新規スパッタリングターゲットの開発など5件の発明が表彰対象となりました。なお当社では、ノウハウとして秘匿化する発明も特許と同様に表彰の対象としています。

2022年度受賞式

知財人材の育成

知的財産活動を遂行していくためには、知財人材の育成が重要です。当社グループでは、知的財産の適切な取得・保護・活用および知的財産リスクのマネジメントの観点から、事務系を含めた全社員に対し、体系的なプログラムに基づき独自の教材を用いて知的財産教育を実施しています。
また、年々高度化する知的財産業務に対応するため、知的財産部門では、弁理士資格やAIPE認定知的財産アナリストの取得を奨励するとともに、実務スキルのさらなる向上を目指して部内勉強会を実施し専門性向上に努めています。

知的財産教育の様子(オンライン)

知的財産を活用したSDGsへの貢献

当社は、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)のプロジェクト活動の一つであるSDGsプロジェクトに2021年度から参画しています。
2022年度は、他の参画企業とともに知的財産を活用したSDGsへの貢献について、検討および活動を進めました。今後も本プロジェクト活動をはじめとした諸活動を通じて、知的財産を活用したSDGsへの貢献を行っていきます。

特許権の保有状況

当社グループは、「技術立脚型企業」を目指して積極的な研究開発を推進しています。研究開発の過程で発生した発明については、事業戦略に合わせ、国内外において適切な権利化活動を行っています。

特許保有件数
Column

次世代育成の取り組み

かけがえのない非鉄金属資源・素材を将来にわたって安定的に確保・供給するためには、未来を担う人材の育成が不可欠です。当社グループでは小学生から高校生・大学生までの若年層を中心に、さまざまな体験や実践に取り組む機会を提供し、非鉄金属について知っていただくきっかけづくりに取り組んでいます。

次世代育成の基本的考え方

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①日常と科学

港区芝地区総合支所と連携し「銅の学習会」を開催

2023年7月30日、東京都港区芝地区総合支所主催の小学生を対象としたイベント「芝・ネイチャー大学校」に協賛し、「銅の学習会」を開催しました。5回目の開催となる今回は、小学生の親子19組、合計40名を本社オフィスに招き、銅に関するクイズや動画、実験を通して楽しく銅の特性を学んでいただきました。イベント後のアンケートでは、「銅の存在がより身近に感じられるようになりました」といった感想が寄せられました。

銅のリサイクルについて当社社員が解説

②科学と技術

銅の実験教室を開催

2022年9月3日、国際銅協会、一般社団法人日本銅センター(株)、リバネスとの共催による実験教室「身近な『銅』の意外なチカラ!超抗菌性能を体験しよう!!」を本社SQUARE LABにて開催しました。当日は、中高生13名が参加し、銅や銅合金が持つ細菌などの増殖を抑える「超抗菌性能」やウイルスを不活化させる(感染性を失わせる)「抗ウイルス性能」に関する実験を行いました。実験後のワークショップでは、「浴室内のカビが生えやすい箇所や鏡に銅を含んだフィルムを貼る」「銅でキーボードをコーティングする」など、普段の生活で活用できるユニークなアイデアが発表されました。

銅の活用方法を考えるワークショップ

③技術と社会

東京大学 大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻講義 受講生を対象とした本社見学会を開催

2022年7月15日、学生32名と同研究所に所属するマテリアル工学専攻の教員8名を本社オフィスに招いて見学会を実施しました。当日は、仮想現実(VR)を用いた佐賀関製錬所の操業現場の疑似体験などを通じて、銅を中心とする非鉄金属素材がどのようなプロセスを経て社会に提供され、その発展に役立っているかについて学んでいただきました。また、「次世代通信・センサーによる未来」と題して、次世代の技術・商品開発をテーマとしたワークショップを開催し、活発なディスカッションが行われました。当社にとっても学生の皆様から新鮮な気付きを得ることができ、貴重な経験となりました。

VR工場見学を体験する参加者の皆様

STEAM教育の普及に向けた取り組み

「非鉄金属×お笑い」コラボレーション

当社は、一般社団法人学びのイノベーション・プラットフォーム(PLIJ)の設立に伴い、設立当初から正会員として参加しています。PLIJはSTEAM教育のコンテンツ充実と普及を目的として、内閣府や東京大学が設立した組織です。当社では、同じくPLIJの会員企業である吉本興業(株)と協業し、「非鉄金属×お笑い」という異業種間コラボレーションによるコンテンツ・動画を作成するなど、未来を担う人材の育成につながるよう取り組みを進めています。

STEAM教育:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念

「パラデル漫画で知る!あなたの知らない銅の世界」
コラボ企画の第1弾として、本多修氏によるパラデル漫画「あなたの知らない銅の世界」を公開しました。「パラパラ漫画」と「飛び出す」を組み合わせた動画作品「パラデル漫画」でおなじみの動画コンテンツです。銅の製造方法や活用方法、リサイクルから資源循環までがコミカルに分かりやすく描かれています。

お笑いタレントによる教養バラエティ番組
第2弾となるコンテンツは、「チョコレートプラネット」「蛙亭」「ライス」といった人気の芸人を集め、クイズや工場見学ロケを実施。銅の特性から製錬方法、デジタル社会を支える銅素材の魅力、資源循環の重要性など、銅に関する幅広い知識を楽しみながらも学べる内容となっています。

作者:佟 昊霖
作品名:アルマジロ
ミツオビアルマジロの全身骨格をモチーフに、丸みのある可愛らしさと骨格特有の凛々しさを表現している

東京藝術大学への「JX金属賞」の設立

当社では次世代の鍛金芸術を支える優秀な学生を支援することを目的とした「JX金属賞」を設立しました。これは、東京藝術大学鍛金研究室に在籍し、学業成績が特に優秀な学生1名を毎年表彰するものです。
2022年10月25日には、「2022年度JX金属賞」の授与式を実施しました。今年度は、同大学大学院美術研究科修士課程2年生の佟 昊霖(トン コウリン)さんが選ばれました。当社は今後もさまざまな形で鍛金芸術の発展を支援することで、より多くの方に金属の魅力や大切さを知っていただくとともに、文化芸術の振興に貢献していきます。

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