ニュースリリース
2022年度
2023年3月28日
JX金属株式会社
カセロネス銅鉱山運営会社SCM Minera Lumina Copper Chile株式の譲渡について
JX金属(社長:村山 誠一、以下「当社」)は、チリ国カセロネス銅鉱山の運営を行う完全子会社であるSCM Minera Lumina Copper Chile(CEO:Gonzalo Araujo、以下「MLCC社」)の株式の51%を、Lundin Mining Corporation(CEO: Peter Rockandel、以下「Lundin社」)へ譲渡することを決定いたしました。さらに今後、当社はMLCC社株式の19%をLundin社または第三者へ譲渡することとしており、最終的な譲渡割合は70%となります。
1.背景・理由
当社は「2040年JX金属グループ長期ビジョン」において、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」へと転身し、「先端素材で社会の発展と革新に貢献するグローバル企業」を目指すこととしています。当ビジョンに基づき資産ポートフォリオの見直しを積極的に進めており、今般この一環として、当社が保有するMLCC社株式をLundin社へ譲渡することを決定いたしました。
カナダに本拠を置くLundin社は、世界20か国以上で鉱物資源・石油・ガスを開発供給するLundinグループにおける主力企業のひとつであり、南米、欧州、米国など世界各地で長年にわたって銅や亜鉛をはじめとするベースメタルの鉱山経営・生産販売を行っております。同社がカセロネス近郊で経営するカンデラリア銅鉱山はチリ有数の規模を誇り、当社グループ製錬所の重要な調達先のひとつとなっています。また、同社グループはカンデラリア銅鉱山以外にもカセロネス銅鉱山周辺地域に複数の銅鉱床プロジェクトを保有しています。
今般、豊富な知見、高い鉱山運営能力を持つLundin社がカセロネス銅鉱山の経営にパートナーとして参画することにより、同鉱山の生産性向上やコスト競争力強化が見込まれます。また、同社は同鉱山周辺地域での事業経験も豊富であり、今後、同鉱山の既存生産設備や所有地等のアセットを活用することで、同鉱山周辺の鉱徴地を含む地域一帯のさらなる開発機会の創出も期待できます。これは同鉱山の山命延長、一層の競争力強化、より効率的・長期的な事業運営の可能性にもつながるものです。このように両社のパートナーシップは大きなシナジーを生み出すことができると強く期待しています。
当社は本施策によって先端素材事業を中心とした注力分野へ経営資源を更に集中していくとともに、資源事業におけるボラティリティの抑制と長期的な収益基盤の強化を図ります。
2.カセロネス銅鉱山のこれまでの経緯
当社は2006年にカセロネス銅鉱山の権益を取得して以降、フィージビリティスタディや剝土・建設工事を経て、2013年にはSX-EW法による電気銅の生産を、2014年5月には銅精鉱の本格生産を開始いたしました。同鉱山は標高4,000m以上の急峻な場所に位置し、これまで天候問題や新型コロナウイルス拡大など多様な課題に直面しながらもこれを乗り越えてきました。直近では安定操業を実現するとともにいっそうの生産性改善を進めており、2022年11月には累計生産量100万トン(銅量換算)を達成いたしました。また今日に至るまで、近隣コミュニティと協力的でオープンな関係を維持するとともに、雇用の創出を通じて地域経済の活性化にも大きく寄与してまいりました。
今後はLundin社という新たなパートナーとともに、カセロネス銅鉱山の更なるレジリエンス強化、地域コミュニティとの関係強化を引き続き進めてまいります。
3.当社グループにおける今後のカセロネス銅鉱山
社会のデジタル化の進展に伴い、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条をはじめとする当社の先端素材はこの先の更なる需要の増加が予測されており、足下当社は茨城県内の複数箇所や北米において新工場の建設や設備能力の増強を進めています。また、今後も世界の銅需要が長期的に拡大していくことが見込まれる中、当社ではこうした需要増に持続可能な形で応える銅を「サステナブル・カッパー(※))」と定義し、これをさらに進化させるべく、銅精鉱とリサイクル原料の双方を原料とする「グリーンハイブリッド製錬」を推進しております。カセロネス銅鉱山はこれらの施策を推進する上で欠かせない原料の調達先として重要な役割を担っており、同鉱山は今後もオフテイク契約に基づいて安定的に一定量の銅精鉱の供給を続けていくことで、引き続き当社事業の成長を支えてまいります。
今後も当社グループは、2040年長期ビジョンの実現に向け、各種の取り組みを積極的かつ機動的に進めてまいります。
以 上
(※)2022年8月3日付プレスリリース「"サステナブルカッパー・ビジョン"の策定について」をご参照ください。
<参考>
当社の概要
(1) 名称 | JX金属株式会社 |
(2) 所在地 | 東京都港区虎ノ門二丁目10番4号 |
(3) 代表者の役職・氏名 | 代表取締役社長 村山 誠一 |
(4) 事業内容 |
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(5) 資本金 | 750億円 |
(6) 設立年月日 | 2002年9月27日 |
(7) 大株主及び持株比率 | ENEOSホールディングス株式会社 100%出資 |
異動する子会社(孫会社)の概要
(1)名称 |
SCM Minera Lumina Copper Chile |
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(2)所在地 | Av. Andrés Bello 2687, Piso 4 - Edificio del Pacífico, Las Condes, Santiago, Chile | ||||
(3)代表者の役職・氏名 |
CEO Gonzalo Araujo |
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(4)事業内容 |
a)採掘権およびその他の権利の探査、開発 b)探査又は開発のための鉱業権の購入及び賃貸借 c)鉱床及び採掘権の探査、開発及び商業化への参画 d)生産する鉱石を処理精製するプラントの設置と運転 e)鉱石及び製品の販売、輸出及び商業化 |
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(5)資本金 |
3,468,427,600 USD |
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(6)設立年月日 |
2003年8月20日 |
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(7)大株主及び持株比率 |
MLCC Finance Netherlands B.V. 68.68% ニッポン・カセロネス・リソーシズ株式会社28.49% Nippon Caserones Resources Canada 2.83% |
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(8)当社と当該会社との間の関係 |
資本関係 |
間接保有 100% |
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人的関係 |
当社従業員4名が、当該会社の役員を兼任しております。そのほか、当社従業員28名が当該会社に出向しております。 |
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取引関係 |
当社と当該会社との間には、運転資金の貸付及び利息の受取、銀行借入等に対する保証の提供及び保証料の受取等の取引があります。また、当社の子会社と当該会社との間には、原材料及び製品の供給等の取引があります。 |
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(9)当該会社の最近3年間の経営成績及び財政状態 |
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決算期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
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純資産 |
△ 684,240千USD |
△ 1,314,817千USD |
△ 1,055,650千USD |
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総資産 |
3,287,760千USD |
2,775,360千USD |
2,905,136千USD |
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1株当たり親会社所有者帰属持分 |
△0.24USD |
△0.47USD |
△0.37USD |
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売上高 |
772,833千USD |
941,095千USD |
1,244,268千USD |
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営業利益 |
23,793千USD |
△ 497,389千USD |
394,286千USD |
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税引前損益 |
△ 159,244千USD |
△ 625,979千USD |
273,486千USD |
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親会社所有者に帰属する 当期利益 |
△ 165,927千USD |
△ 630,563千USD |
259,201千USD |
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1株当たり当期利益 |
△0.06USD |
△0.22USD |
0.09USD |
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1株当たり配当金 |
0USD |
0USD |
0USD |
株式売却の相手先の概要
(1)名称 |
Lundin Mining Corporation |
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(2)所在地 |
150 King Street West, Suite 2200 P.O. Box 38, Toronto,ON, M5H 1J9 Canada |
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(3)代表者の役職・氏名 |
CEO Peter Rockandel |
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(4)事業内容 |
アルゼンチン、チリ、ブラジル、ポルトガル、スウェーデン、アメリカにおける鉱物の探査、開発、採掘 |
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(5)資本金 |
6,275,506,692 CAD |
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(6)設立年月日 |
1994年9月9日 |
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(7)大株主及び持株比率 |
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(8)当社と当該会社の関係 | 資本関係 | 無し | ||||||||||||||||||||||||
人的関係 | 無し | |||||||||||||||||||||||||
取引関係 |
無し |
売却株式数,売却価額及び売却前後の所有株式の状況
(1) 異動前の所有株式数 | 2,827,486,684.93株 |
(2) 売却株式割合 | 51% |
(3) 売却価額 | 950百万USD |
(4) 異動後の所有株式割合 | 49% |
日 程
(1) 取締役会決議日 | 2023年3月28日 |
(2) 契約締結日 | 2023年3月28日 |
(3) 株式譲渡実行日 | 2023年6月(予定) |