先端素材を通じた社会の発展への貢献

先端素材を通じた社会の発展への貢献

次代の潮流に合致したニッチトップ製品の開発

当社グループは、強固なR&D体制と創業以来100年以上にわたり培ってきた要素技術を活かし、次代の潮流に合ったニッチトップ製品の開発を推進しています。また、お客様との強固なリレーションシップを基盤に、新たな市場ニーズの把握に努めています。

社会の根幹を支える主力2製品

スパッタリングターゲットの採用模式図(ロジック半導体の断面図)
① 半導体⽤スパッタリングターゲット

ロジック・メモリをはじめとする半導体内の配線を形成するために用いられる材料です。当社では銅をはじめ、タンタル、チタン、タングステン、コバルトなど、さまざまな種類のスパッタリングターゲットを提供しており、いずれの製品も世界No.1のシェアを有しています。
半導体は年々高機能化が進んでおり、それに伴い、より細かな配線を形成できる高品質なスパッタリングターゲットが求められています。当社は、高品質な製品の安定的な供給により、半導体メーカーや半導体装置メーカーと強固な信頼関係を構築しており、今後さらなる事業規模の成長が期待できます。

  • 当社の依頼により実施された外部調査機関による調査(2021年度実績、半導体用ターゲット市場における当社のシェア、販売金額ベース)に基づき当社作成

ポイント1

 半導体メーカーおよび半導体製造装置メーカーとの強固な関係
半導体用スパッタリングターゲット製品のビジネスモデルのイメージ

ポイント2

 半導体用スパッタリングターゲットの製造に用いられる優れた技術
半導体用スパッタリングターゲットの製造工程
圧延銅箔の採用例
② FPC用圧延銅箔

圧延銅箔は、スマートフォン内部の部品と部品をつなぐ折り曲げ可能な配線材料であるFPC(フレキシブルプリント基板)に用いられ、スマートフォンの小型化や長寿命化に貢献しています。今後は、AI搭載等によるスマートフォンやパソコン向け部材のさらなる高機能化・微細化に加え、スマートウォッチやスマートグラスといったウェアラブルデバイス等の周辺機器による使用拡大が見込まれます。当社では、エンドユーザーとの関係強化を通じて開発ニーズを早期に把握することで、競合他社に先駆けて製品の上市を行う「市場開発型アプローチ」により、1stベンダーの地位を確保しています。

  • 富士キメラ総研 「2023エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」(2022年実績、FPC向けのみ、出荷数量ベース)

ポイント1

 当社の圧延銅箔の優れた屈曲耐性
  1. ※1IPC(Association Connecting Electronics Industries:米国のプリント回路業界団体)が定める規格及びJIS規格に準拠したFPCの耐屈曲性の標準的な試験方法
  2. ※2プリント回路産業において世界的に最も広く使用されている規格であるIPC標準のIPC-4562A「Metal Foil for Printed Board Applications」、Grade10「Electrodeposited low temperature annealable」に該当する電解銅箔

ポイント2

 開発ニーズを早期に把握する市場開発型アプローチ

次世代の収益の柱としての成長が期待される結晶材料

生成AIの急速な普及に伴うデータセンター数の増加や、モバイル通信量の増加、センシング技術の高度化等により、結晶材料分野の成長が見込まれています。当社の高純度化、組成制御、温度制御の技術を駆使し、高品質な結晶材料を市場に供給することにより、結晶材料を当社グループの次世代の収益の柱とするべく取り組みを進めています。その一環で、2024年4月に技術本部 結晶材料事業推進部を立ち上げ、データセンター等で使用される受発光素子の素材となるInP(インジウムリン)基板や、赤外線検出器や放射線検出器等の用途に用いられるCdZnTe(カドミウムジンクテルル)基板等の分野を強化する体制を構築しました。

結晶材料事業の概要

先端素材領域のさらなる事業拡大に向けて

生成AIの急速な普及などに伴い、データ演算需要の飛躍的な増加が見込まれています。半導体産業においては、AIデータセンターを支えるGPU(Graphics Processing Unit)やHBM(High Bandwidth Memory)など、最先端の領域での技術革新に注目が集まっています。さまざまな金属材料を取り扱う高度な技術力を保有する当社にとっては、ここに新たなビジネスチャンスがあるものと考えています。当社はこれまで、半導体用スパッタリングターゲットのトッププレーヤーとして、半導体メーカー各社とのパートナーシップを深めてきました。今後、長年の事業で培ったネットワークを活用し、先端素材領域のラインナップの拡大を進めていきます。

半導体製造工程と関連する当社製品

取り組み1

 新たな成膜ニーズへの対応

半導体の微細化や多層化の進展に伴い、PVD(Physical Vapor Deposition)に加えて、CVD(Chemical Vapor Deposi­­tion)・ALD(Atomic Layer Deposition)と呼ばれる方法での薄膜形成のニーズが高まることが見込まれています。当社では、2024年2月に設立した技術本部技術戦略部CVD・ALD材料事業推進室のもとで、当用途に用いられる材料の早期事業化に向けた取り組みを進めています。

PVD法とCVD・ALD法の比較

取り組み2

 半導体パッケージング・実装分野での取り組み

従来の技術の延長線上での半導体の高性能化への限界が語られる中において、CPUやメモリなど機能の異なる複数のチップを1つの基板上に高密度で実装することで、処理速度を大幅に向上させる「チップレット」などの後工程での技術革新に注目が集まっています。当社のスパッタリングターゲットは、チップレット間を縦や横につなぐ配線の材料としての需要の拡大が期待されます。また、これらの用途では、高純度なめっき用材料など、新たな材料のニーズの拡大も見込まれます。また、半導体を回路基板に実装するための材料などにおいても当社材料需要の拡大が期待されます。

断面図と期待される当社の材料・サービス例

生産体制の強化

当社グループでは、半導体材料/情報通信材料における今後の需要拡大を見据え、茨城県内を中心に、国内外で先端素材の生産能力の増強を積極的に進めています。

①ひたちなか新工場

茨城県ひたちなか市に大規模用地を取得し、新たな工場の建設を進めています。
新工場は、将来的な需要の急拡大が見込まれる半導体用スパッタリングターゲットを中心とした半導体材料の生産等を担い、最終的に従業員500名以上を有する当社の中核拠点の一つとなる予定です。

所在地
  • 茨城県ひたちなか市新光町
面積
  • 約24万㎡
生産品目
  • 半導体用スパッタリングターゲットを中心とした半導体材料等
稼働開始
  • 2025年度(予定)
②アリゾナ州新工場

半導体産業の集積が進むアリゾナ州に位置する新工場で、半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を顧客ニーズに応じて機動的に拡大していきます。また、新規事業展開のための拠点としても活用し、北米における先端事業分野の中心地としていく考えです。

所在地
  • アメリカ合衆国アリゾナ州メサ市
面積
  • 約26万㎡
生産品目
  • 半導体用スパッタリングターゲットを中心とした半導体材料等
稼働開始
  • 2024年度
③茨城県日立市内に2つの新工場

半導体用スパッタリングターゲットおよび圧延銅箔の生産能力を増強するため、茨城県日立市内に2つの新工場を建設しています。

所在地
  • 茨城県日立市白銀町(日立事業所 白銀地区)
面積
  • 8,001.77㎡
生産品目
  • 圧延銅箔
稼働開始
  • 2024年度
所在地
  • 茨城県日立市砂沢町
面積
  • 23,348.04㎡
生産品目
  • 半導体用スパッタリングターゲット
稼働開始
  • 2024年度(予定)