
先端材料を通じた社会の発展への貢献

先端材料を通じた社会の発展への貢献
未来を支えるニッチトップ製品の開発
当社グループは強固なR&D体制と創業以来100年にわたり培ってきた要素技術を活かし、未来を支えるニッチトップ製品の開発を推進しています。また、お客様との強固なリレーションシップを基盤に、新たな市場ニーズの把握に努めています。

生成AI向け需要を支える当社製品
AIサーバ出荷台数の推移

生成AIの普及に伴い、データ伝送の高速化・大容量化が進展することで、AIサーバやGPUの需要が今後ますます高まると予想されます。こうした市場の拡大により、当社の半導体用スパッタリングターゲットをはじめ、Inp基板、高純度タンタル粉、磁性材用スパッタリングターゲットの需要も大きく伸びることが期待されます。加えて、情報通信材料事業においても、AIサーバ向けコネクタ用途としてのチタン銅の需要が急速に拡大しており、足元の販売量も大幅に増加しています。
当社製品用途(データセンター)

半導体材料
半導体⽤スパッタリングターゲット
スパッタリングターゲットの採用模式図(ロジック半導体の断面図)

ロジック・メモリをはじめとする半導体内の配線を形成するために用いられる材料です。当社では銅をはじめ、タンタル、チタン、タングステン、コバルトなど、さまざまな種類のスパッタリングターゲットを提供しており、いずれの製品も世界No.1※のシェアを有しています。
半導体は年々高機能化が進んでおり、それに伴い、より細かな配線を形成できる高品質なスパッタリングターゲットが求められています。当社は、高品質な製品の安定的な供給により、半導体メーカーや半導体装置メーカーと強固な信頼関係を構築しており、今後さらなる事業規模の成長が期待できます。
- ※当社の依頼により実施された外部調査機関による調査(2021年度実績、半導体用ターゲット市場における当社のシェア、販売金額ベース)に基づき当社作成
ポイント1
高品質と安定供給を両立する技術力半導体の製造プロセスにおいては、わずかな不純物の混入で製品の不良率が顕著に変わってしまうため、その材料にも非常に高い品質が求められ、工程全般に渡り高度な品質管理能力が必要になります。 その点において、当社は高純度化や組成・組織制御、表面処理、分析評価のすべての工程において高い技術と品質管理能力を有しており、多数の金属品種において高品質な製品の安定的な供給を実現しています。技術と品質をすべての工程で安定的に両立させることが当社の強みであり、他企業の参入障壁となっていると考えています。
ポイント2
導体製造装置メーカーとの強固な関係
当社は、半導体製造装置メーカーとの強固な関係に支えられたビジネスモデルを構築しています。半導体メーカーからの受注を獲得するため、製造装置に使用される標準材料として指定されることが極めて重要です。
当社は、長年にわたり高品質な製品を安定的に提供してきた実績があります。主要な装置メーカーとの信頼関係により、新製品の開発段階においては、開発当初から提案活が可能となり、その結果、他社に先駆けて量産採用されるという好循環を確立しており、これが当社の大きな競争優位性となっています。
ポイント3
半導体メーカー(顧客)との長年の取引による信頼関係当社は、長年にわたり高品質な製品を安定的に供給してきた実績により、顧客との間に強固な信頼関係を構築しています。その結果、当社はIntelやTSMCといった世界的な半導体メーカーから、優秀なサプライヤーとして幾度も表彰を受けており、半導体用ターゲット市場において高い参入障壁を有する確固たる地位を確立しています。
ポイント4
グローバルな生産体制当社は米国アリゾナ州のメサ、台湾、韓国など、主要な半導体メーカーが生産拠点を有する地域に工場を構えており、半導体メーカーからの変化の激しい需要にも機動的に対応できるグローバルな量産体制を整えています。
半導体用スパッタリングターゲットの製造工程

半導体用スパッタリングターゲット製品のビジネスモデルのイメージ

タンタル・ニオブ材料
2018年7月、当社グループはH.C.Starck Tantalum and Niobium GmbH(現 TANIOBIS GmbH、本社:ドイツ)の株式を取得しました。TANIOBIS社は、コンデンサー・半導体材料・SAWデバイス向けのタンタル・ニオブ粉末などの世界有数の供給者であり、高い技術力およびマーケティング力を背景とした優れた製品群を有しています。本格的なIoT社会の到来により、使用される電子部品やデバイス数の飛躍的な増加が見込まれる中、当社とTANIOBIS社両社の技術および知見を融合し、顧客ニーズを満たす高品質な素材を安定的に供給することで、IoT社会の発展に貢献してまいります。
製品一覧





今後の成長分野
① 結晶材料
結晶材料事業では、主に化合物半導体であるInP(インジウムリン)や、CdZnTe(カドミウムジンクテルル)を製造しており、当社グループの長年培った技術を活かし、半導体材料セグメントの成長を加速させるべく、事業規模拡大を狙っています。
InPは、光通信用の受発光素子材料や赤外線センサ材料として用いられ、今後データセンターやモバイル通信量の増加に寄り高い成長性が期待される分野です。
CdZnTeは、放射線センサ、赤外線センサ素子の素材として用いられ、防衛・メディカルなどの分野での成長が期待されています。
結晶材料事業の概要

② 次世代半導体材料
次世代半導体材料事業では、CVD(化学気相成長法)やALD(原子層積層法)で使用されるCVD・ALD用材料を製造しています。
生成AIの進化によりデータセンターやAI搭載IoTデバイスの市場が成長し、これらの機器に必要とされる高性能半導体には、高集積化を実現するためにさらなる微細化や多層化が求められています。
これに伴いCVD・ALDによる薄膜形成のニーズが高まっていることから、当社はCVD・ALD用材料の量産ラインを構築し、今後更に生産能力を増やすため、新規プロセス開発や新規材料開発に向けた設備強化を行っています。
PVDとCVD・ALDの違い


半導体パッケージング・実装分野での取り組み
従来の技術の延長線上での半導体の高性能化への限界が語られる中において、CPUやメモリなど機能の異なる複数のチップを1つの基板上に高密度で実装することで、処理速度を大幅に向上させる「チップレット」などの後工程での技術革新に注目が集まっています。当社のスパッタリングターゲットは、チップレット間を縦や横につなぐ配線の材料としての需要の拡大が期待されます。また、これらの用途では、高純度なめっき用材料など、新たな材料のニーズの拡大も見込まれます。また、半導体を回路基板に実装するための材料などにおいても当社材料需要の拡大が期待されます。
断面図と期待される当社の材料・サービス例

情報通信材料
圧延銅箔の採用例

FPC用圧延銅箔
圧延銅箔は、スマートフォン内部の部品と部品をつなぐ折り曲げ可能な配線材料であるFPC(フレキシブルプリント基板)に用いられ、スマートフォンの小型化や長寿命化に貢献しています。今後は、AI搭載等によるスマートフォンやパソコン向け部材のさらなる高機能化・微細化に加え、スマートウォッチやスマートグラスといったウェアラブルデバイス等の周辺機器による使用拡大が見込まれます。当社では、エンドユーザーとの関係強化を通じて開発ニーズを早期に把握することで、競合他社に先駆けて製品の上市を行う「市場開発型アプローチ」により、1stベンダー※の地位を確保しています。
- ※富士キメラ総研 「2023エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」(2022年実績、FPC向けのみ、出荷数量ベース)
ポイント1
当社の圧延銅箔の優れた屈曲耐性

- ※1IPC(Association Connecting Electronics Industries:米国のプリント回路業界団体)が定める規格及びJIS規格に準拠したFPCの耐屈曲性の標準的な試験方法
- ※2プリント回路産業において世界的に最も広く使用されている規格であるIPC標準のIPC-4562A「Metal Foil for Printed Board Applications」、Grade10「Electrodeposited low temperature annealable」に該当する電解銅箔
ポイント2
開発ニーズを早期に把握する市場開発型アプローチ
圧延銅箔の主要用途であるFPCは、導電性金属である圧延銅箔と絶縁性を持った薄く柔らかいベースフィルム(ポリイミド等)とを貼り合わせた基材(FCCL)に電気回路を形成した基板です。僅かな隙間や繰り返し屈曲する可動部に用いられることから、圧延銅箔には優れた屈曲性や耐久性が求められます。当社は独自のノウハウにより高品質な薄箔の製造を実現しており、FPC用途において6μm(髪の毛の約100分の1)の薄さまで製造可能です。
当社は、FPC向け圧延銅箔のエンドユーザーと20年以上にわたる強固な関係を構築しており、これらのエンドユーザーとの対話を通じて、早期の開発ニーズの把握や、ニーズに基づく材料提案を行ってきました。当社製品がエンドユーザーから材料指定を受けることにより、エンドユーザーに製品供給を行うCCLおよびFPCメーカーからの安定的な受注を実現しています。
特性MAP

高機能銅合金条
精密なプロセス制御技術を駆使して製造される当社の高機能銅合金条は、強度・曲げ性・導電率等の特性に強みを有しており、エレクトロニクス市場から高く評価されています。IT分野のほか、エレクトロニクス化の進展が著しい自動車電装部品向けにおいても、高いレベルの顧客要望に応えることのできる幅広い製品を提供しています。
生産体制の強化
当社グループでは、半導体材料/情報通信材料における今後の需要拡大を見据え、茨城県内を中心に、国内外で先端材料の生産能力の増強を積極的に進めています。
①ひたちなか新工場

茨城県ひたちなか市に大規模用地を取得し、新たな工場の建設を進めています。
新工場は、将来的な需要の急拡大が見込まれる半導体用スパッタリングターゲットを中心とした半導体材料の生産等を担い、最終的に従業員500名以上を有する当社の中核拠点の一つとなる予定です。
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②アリゾナ州新工場

半導体産業の集積が進むアリゾナ州に位置する新工場で、半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を顧客ニーズに応じて機動的に拡大していきます。また、新規事業展開のための拠点としても活用し、北米における先端事業分野の中心地としていく考えです。
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③茨城県日立市内に2つの新工場
半導体用スパッタリングターゲットおよび圧延銅箔の生産能力を増強するため、茨城県日立市内に2つの新工場を建設しています。

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基礎材料(先端材料を支えるベース事業)
地政学的リスクが高まる中、当社半導体材料の原料として必要となる貴金属・レアメタルの安定確保の重要性が高まっています。
基礎材料セグメントでは従来のリサイクル原料からの回収をさらに強化することに加え、レアメタル鉱山開発にも取り組んでいます。

