製品・サービス

100%リサイクル電気銅

100%リサイクル電気銅(マスバランス⽅式)

【JX⾦属の想い】

 当社は、カーボンニュートラルの実現に不可欠な脱炭素資源である銅をサステナブルに供給するための考え方を、サステナブルカッパー・ビジョンという形で掲げ、実現に向けての施策を推進してまいりました。カーボンフットプリント(CFP)の削減、リサイクル比率の向上、責任ある調達の推進等、サステナビリティ向上にかかわる取組みを前進させるためには、サプライチェーンに携わる方々との連携が不可欠となります。そこで、銅の生産・利用にかかわる様々な企業と共に考え、あるべき姿に向けて協働していきたいという想いのもと、多くの対話を重ねました。関係者との対話の中で汲み取ったニーズ、さらに資源循環、脱炭素、供給安定性、原料トレーサビリティの向上、並びに経済合理性といった複数の視点に立って市場への最適な銅の供給スキームを検討した結果、社会に求められる銅の供給の一つの姿として、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅をご提案することとしました。

【マスバランス⽅式の考え⽅】

 マスバランス方式とは、特性・由来の異なる原料が製造工程の途中で混合され、原料を区別できない製品が製造される場合に、ある特性・由来を持つ原料の投入比率に応じて製品の一部にその特性を割り当てる手法です。
 当社の銅製錬プロセスでは、鉱山で採取された銅精鉱と、使用済みの銅管・銅線・基板などの銅を含むリサイクル原料が溶解・混合され、さらに不純物除去のプロセスを経て電気銅が製造されます。この時、銅は原子レベルで混合されるために、正確にその由来を特定することはできません。例えば、下図のように銅含有量がA kgの銅精鉱と、銅含有量がB kgのリサイクル原料を処理した場合、A+B kgの均質な製品が製造されますが、マスバランス方式を用いることでA kgを銅精鉱由来とみなし、B kgをリサイクル原料由来であるとみなすことができます。これら2つは異なる製品ですが、その不純物濃度や物性は同一です。

(図1)銅製錬プロセスにおけるマスバランス方式の考え方

【マスバランス法を用いた100%リサイクル電気銅】

 当社は、マスバランス方式を用いた以下の2種類の100%リサイクル電気銅の販売を予定しております。

PCL100/mb (Partnered Closed Loop 100% mass balance method)
 お客様の使用済み製品をはじめとしたリサイクル原料を水平リサイクルし、100%リサイクル電気銅として返還するもので、当社とお客様の「共創型」の供給スキームに基づいています。本商品のご使用により、お客様の製品に組み込まれていた銅を再びお客様自身の製品に戻すことが可能となります。なお、本商品はお客様からのリサイクル原料を用いているため、供給可能量はお客様からのリサイクル原料の集荷量によって変動します。

MR100/mb (Mixed Recycle 100% mass balance method)
 市中から収集したリサイクル原料を用いた100%リサイクル電気銅です。サステナブル原料調達のご要望に応じて幅広いお客様に対してご提供します。リサイクル原料の集荷方法については①の商品と異なりますが、その他品質においては同様の特徴を有します。なお、本商品の供給可能量は、当社のリサイクル原料の集荷量に準じるため限りがございます。

 各商品の詳細は下表のとおりです。

商品 本商品の特色 CFP
(当社推定イメージ)
リサイクル原料の
集荷方法
想定される
リサイクル原料の種類
ご提供可能なお客様
①PCL100/mb 原材料をリサイクル原料とみなす※1 集荷したリサイクル原料の種類による 特定のお客様からの集荷
  • お客様の製品由来の銅管・銅線・基板など
  • お客様の製造工程で発生した工程端材
基本的には左記のリサイクル原料をご提供いただけるお客様
②MR100/mb 原材料をリサイクル原料とみなす※1 過去の当社におけるリサイクル原料の処理実績に基づくと1/2~1/3程度※2 市中からの収集 市中から調達した使用済みの銅管・銅線・基板など 幅広いお客様にお求めいただけます
③その他の電気銅 原料を指定しない 1 幅広いお客様にお求めいただけます
  1. ※1 マスバランス方式の考え方に基づく。詳細はマスバランス方式の説明をご参照ください
  2. ※2 当社電気銅全体の平均値を1とした場合のイメージ

 下図はPCL100/mb, MR100/mbにおけるサプライチェーンの一例を示しています。

 PCL100/mbにおいては、まず、A社において製造された製品・部品をA社が回収し、A社の製品・部品由来のリサイクル原料として当社に供給していただくことが必要となります。A社から供給されたリサイクル原料は、銅製錬プロセスにおいて他の原料とともに効率的に混合・処理され、含まれていた銅分は電気銅として再生します。再生した電気銅は他の原料由来の銅分を含みますが、適切な管理のもとマスバランス方式を適用することにより、少なくとも一部の電気銅は、A社から供給されたリサイクル原料由来の100%リサイクル電気銅であるとみなすことができます。そのため、A社から供給されたスクラップを高品質な電気銅としてA社へ返還することが可能となります。また、最終製品だけではなく、部品製造の際に発生する工程端材の回収をおこない、リサイクル原料として使用して電気銅をお戻しする場合もPCL100/mbの供給スキームに該当します。
 MR100/mbについては、市中から集荷したリサイクル原料を銅製錬における原料として使用し、マスバランス方式を用いてリサイクル100%電気銅として供給されます。

(図2)PCL100/mb, MR100/mbのサプライチェーン(一例)

「Cu again(シーユー アゲイン)」プロジェクト

 当社は100%リサイクル電気銅の社会実装を目指す「Cu again」プロジェクトを始動し、お客様とともに資源循環と脱炭素という社会課題の解決を目指します。
 「Cu again」には、電気銅(Cu)が社会での役割を終えてスクラップとして戻り、リサイクルを経て繰り返し(again)未来の社会を支えていくという願いを込めています。意匠には、銅の動脈と静脈に関わる皆さまとともに無限(∞)の循環を目指すイメージを表現しています。
 当社は、グリーンハイブリッド製錬の推進により、2040年にリサイクル原料比率を50%以上とすることを目標としておりますが、本プロジェクトを通じてリサイクル原料の集荷力を向上させることで、目標実現に向けた取り組みを一層加速させてまいります。

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