圧延銅箔

HA、HA-V2箔

用途

  • 光ピックアップ用FPC
  • HDD用FPC
  • 液晶モジュール用FPC
  • 車載用FPC

特長

  • 結晶粒が大きく、結晶方位が揃うよう設計された圧延銅箔です。
  • 高屈曲性を実現し、クラック(割れ)の発生を抑制しています。
  • 耐振動性を飛躍的に向上させています。
  • 弾性率が低く、“しなやか”な動きを実現します。

技術内容・特性

HA、HA-V2箔の結晶組織と優れた諸特性

再結晶組織

HA、HA-V2箔は、結晶粒を大きくし結晶の方向を揃えることにより、優れたはぜ折り特性(静的曲げ特性)、摺動屈曲特性(動的曲げ特性)、低反発性、柔軟性、耐振動性を実現した高機能圧延銅箔です。アニール後の結晶粒を著しく大きく発達させるよう設計することにより、クラック(ひび割れ)の起点となる粒界の面積を低減させ、クラックの発生を抑制しています。

FIB-SIMによる銅箔断面の結晶構造比較

結晶配向性の向上

HA、HA-V2箔はアニール後の結晶の向きが100方向に著しく高くなるよう設計されています。そのため、結晶粒界にミスマッチが少なく、FPCのはぜ折り、屈曲、振動の際に銅箔に歪みが溜りにくく、金属疲労・ネッキングに強い銅箔となっています。

EBSPによる結晶配向性の比較(銅箔表面の観察結果)
  • 色が同じであるほど、結晶の向きが揃っていることを示しています。

摺動屈曲特性(動的曲げ特性)

HA、HA-V2箔は通常圧延銅箔に比べ高い摺動屈曲特性を有します。また極めて薄い9μm銅箔のご提供により、電子機器の更なる小型化・薄型化に対応しています。

柔軟性

HA箔はヤング率が通常圧延銅箔、特殊電解銅箔に比べて低く、優れた柔軟性を持っています。

焼鈍箔ヤング率の比較

  ヤング率/GPa
HA箔 70
通常圧延銅箔 100
特殊電解銅箔 115

低反発性

HA箔は低反発性を有し、折り曲げ実装用途に最適な特殊圧延銅箔です。
HA箔を組み込むことにより、Flexible Copper Clad Laminate(FCCL)のスプリングバックを抑制することが可能です。

ループスティフネス(反発性測定試験)による低反発性の検証

FCCLでの評価

はぜ折り耐性(静的曲げ特性)

HA箔は繰り返しの折り曲げ(=はぜ折り)に対し、通常圧延銅箔に比較し優れた特性を有します。下記の方法でFCCLの180℃繰り返し折り曲げ試験を行った結果、特殊電解銅箔では、2サイクル目でクラックが入ったのに対し、TPC箔では、2サイクル目、HA-V2箔では、5サイクル目、HA箔では6サイクル目までクラックが入りませんでした。HA箔、HA-V2箔、TPC箔は、特殊電解銅箔に比べ、はぜ折りに対し、高い優位性を有しています。

FCCLの180℃折り曲げ試験

折り曲げ性の比較

耐振動特性

HA箔を組み込んだFCCLは、室温においては通常圧延銅箔の約2倍の耐振動性を示します。高温(115℃)下でも約5倍、更に-30℃~115℃の温度サイクル試験において通常圧延銅箔の約3倍の寿命を有し、過酷な条件でも優れた耐振動性を持続します。

試験模式図

室温におけるHA箔と他社通常圧延銅箔による5~170Hzでの振動試験結果

寿命(抵抗変化率20%UP時間)
HA箔:10h
他社通常圧延銅箔:6h

115℃におけるHA箔と他社通常圧延銅箔による5~170Hzでの振動試験結果

寿命(抵抗変化率20%UP時間)
HA箔:29h
他社通常圧延銅箔:6h

-30~115℃の温度サイクルにおけるHA箔と他社通常圧延銅箔による5~170Hzでの振動試験結果

寿命(抵抗変化率20%UP時間)
HA箔:26h
他社通常圧延銅箔:8h

温度サイクルを緑線で示す。
抵抗変化率は温度サイクルに合わせて増減する。

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