ニュースリリース

2024年度

2024年7月 3日

JX金属株式会社

リサイクル100%電気銅の供給と銅の水平リサイクルの実現へ
~ 第三者機関によるChain of Custody の妥当性確認の完了~

 JX金属株式会社(社長:林 陽一、以下「当社」)は、2023年度よりマスバランス方式を用いた100 %リサイクル電気銅の上市を目指してまいりましたが(※1)、マスバランス方式の信頼性を高めるために必須であるChain of Custody (以下CoC管理)の第三者機関による妥当性確認を終え、100%リサイクル電気銅の供給と銅の水平リサイクルの社会実装のための準備を完了いたしました。

 

 当社では、サステナブルカッパー・ビジョン(※2)に基づき、グリーンハイブリッド製錬(※3)を推進するとともに、2024年1月には、マスバランス方式(※4)を用いて100%リサイクル電気銅を商品化する予定であることを発表いたしました。(※1)。
 上記、マスバランス方式の信頼性の確保のためには、CoC管理と呼ばれる管理体制を確立することが必要です。これは、リサイクル原料とリサイクル原料から製造した電気銅の物量管理(※5)を信頼性高く実施する仕組みです。この度、第三者機関(DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン)が当社のCoC管理体制(※6)の妥当性を確認し、当社は、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅の供給体制の構築を完了しました。
 これにより当社は、先に発表済みのPCL100/mbの供給スキーム(※7)を信頼性高く実現可能とし、銅の水平リサイクル(※8)を可能とする先進的な体制を整えました。現在、様々なお客様と銅の水平リサイクルの社会実装へ向けて、協議を進めています。

 

 水平リサイクルは、銅の資源循環の流れをお客様に可視化することに繋がり、銅を利用して製品を製造するお客様自らが資源循環に取り組むことを強くサポートするものです。また、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅は、リサイクル原料のみから製造されたとみなすことができるため、カーボンフットプリントを大幅に低減できる見込みで(※9)、お客様のScope3に該当する温暖化ガスの排出低減に貢献いたします。

 

 今後も当社は先端素材、金属製錬、リサイクル、資源開発の一貫した事業運営の中で、新たな価値の創造への挑戦と、‟サステナブルカッパー・ビジョン"で掲げる様々な施策を通じ、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

以 上

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(図)100%リサイクル電気銅の社会実装を目指すプロジェクト「Cu again」の意匠

 

 

(※1)2024年1月31日付プレスリリース「100%リサイクル電気銅供給モデルの新提案」をご覧ください。

 

(※2)「サステナブルカッパー・ビジョン」の詳細は、2022年8月3日付プレスリリース「"サステナブルカッパー・ビジョン"の策定について」および同リリース別紙「サステナブルカッパー・ビジョン JX金属が目指すサステナブルな銅の姿」をご覧ください。

 

(※3)「グリーンハイブリッド製錬」とは、当社グループの佐賀関製錬所において推進している、リサイクル原料と銅精鉱の双方を活用し化石燃料がほぼ不要な製錬プロセスであり、2040年にリサイクル比率を50%までに引き上げることを目指しています。

 

(※4)特性の異なる原料が混合される場合に、ある特性を持つ原料の投入比率に応じて、生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法です。

 

(※5)リサイクル100%として出荷した電気銅の量が、受け入れたリサイクル原料中の銅含有量×採収率を超えないように、物量の管理を行います。

 

(※6)以下を参考に、当社では独自のChain of custody standardを定めています。

   ・ISO 22095:2020 Chain of custody -- General terminology and models

   ・ASI(Aluminium Stewardship Initiative)Chain of Custody standard

   ・The Copper Mark chain of custody standard

 

(※7)PCL100/mb (Partnered Closed Loop 100% mass balance method)は、特定のお客様から供給されたリサイクル原料を、そのお客様へ100%リサイクル電気銅として返還するものです。詳しくは当社HPをご覧ください。

 

(※8)一般に「水平リサイクル」とは、使用済みの製品を原料として、新品の同じ製品を製造することを指します。ここでは、例えば、当社が使用済み携帯電話に利用されている銅を回収・リサイクルして、携帯電話の部品として利用可能な銅・銅製品の新品を出荷することを指します。(参考:100%リサイクル電気銅について)
 

(※9)第三者機関による検証済みの当社試算に基づく。