ニュースリリース
2024年度
2024年7月10日
JX金属株式会社
鉱硫船「Koryu号」への風力推進補助装置の設置完了について
―風力を利用して海上輸送におけるCO₂排出量削減を目指す―
JX金属(社長:林 陽一、以下「当社」)が47.8%を出資するパンパシフィック・カッパー株式会社(社長:村尾 洋介、以下「PPC」)は、かねてより、大手鉱山会社であるBHPおよび船の風力推進補助装置の世界的メーカーであるNorsepower Oy Ltd.(以下、「ノースパワー社」)との間で合意している海上輸送における脱炭素プロジェクトに基づき、センコーグループの日本マリン株式会社(センコー株式会社60%、当社40%出資)が運航する鉱硫船(※1)「Koryu号」への風力推進補助装置「ローターセイル」の搭載を進めておりましたが、この度、設置が完了し、航海を開始いたしました。
ノースパワー社のローターセイルは、従来製の帆の約10倍の効率を持ち、一度稼働させると操作を必要としないことが特徴です。風力を利用してマグヌス効果(※2)を生み出し、船の燃費効率を最大限に高めることができ、風の状態が良好であれば、速度と航海時間を維持しながら主機関の回転数を落とすことで燃料使用量の削減が可能となり、5~6%の燃料節減を見込んでいます。今後、この削減効果の検証を行うとともに、さらなるCO₂排出量削減効果を検討してまいります。
当社は、2023年7月11日に、BHPと銅のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減と銅のサプライチェーンをよりサステナブルなものとすることを目的とした、グリーン・イネーブリング・パートナーシップ(GEP)を締結いたしました。(※3)当社とBHPは、上流の資源開発から下流の半導体、情報通信、自動車産業などに至るまで、業界横断でトレーサビリティと原料原産地証明を強化することにより、責任ある銅サプライチェーンの継続的な発展を目指しています。また、このGEPにより、両社間の銅精鉱と硫酸の供給を通じた資源循環と温室効果ガス排出削減のさらなる追求、電気銅のカーボンフットプリント(CFP)の算定と削減の分野における知見の共有等にも取り組んでいます。この度の鉱硫船へのローターセイル設置は、GEPにおける取り組みの一環として、海上輸送で発生するCO₂排出量削減を図っています。
また、本件は、当社が2022年8月3日に発表した「サステナブルカッパー・ビジョン」(※4)において、今後当社が取り組むこととした「4つの施策」のうちの一つである「銅のCFP削減」に向けた具体的な取り組みの一つでもあります。当社グループは、2050年度にCO₂自社排出量をネットゼロとする目標を掲げておりますが、今後は、原料生産・物流も含めたサプライチェーン全体でのCO₂排出量削減を目指すいわゆる「Scope3」への対応に向けた取り組みも積極的に進めてまいります。
以 上
(※1)銅精鉱と硫酸を輸送できる特殊船(53,762載貨重量トン)。年間約15万tの銅精鉱と約10万tの硫酸を日本-チリ間で往復輸送している。
(※2)回転しながら進む物体に風が当たることで揚力が発生する現象。
(※3)2023年7月11日リリース「JX金属とBHPとの間におけるGreen Enabling Partnershipの構築について」
(※4)2022年8月3日リリース「"サステナブルカッパー・ビジョン"の策定について」
ローターセイルを設置した鉱硫船「Koryu号」