ニュースリリース

2025年度

2025年4月16日

JX金属株式会社
JX金属サーキュラーソリューションズ株式会社

廃車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムの高回収率リサイクルプロセスを開発

 JX金属株式会社(社長:林 陽一、以下「当社」)の子会社であるJX金属サーキュラーソリューションズ株式会社(社長:安田 豊、以下、「JXCS」)は、廃車載リチウムイオン電池(以下、「LiB」)に含まれるリチウムを世界最高水準となる90%以上の回収率を実現できる新プロセスを開発しましたのでお知らせいたします。

 

 当社グループは、他社に先駆けて2009年から使用済みLiBからのレアメタル回収に取り組んでおり、現在は、廃車載LiBからレアメタルを回収し、再び車載用LiBの原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実証試験を国内最大規模で行っています(※1)。欧州電池規則では、廃車載LiBからの各レアメタルの回収率を2031年末までにリチウムで80%、コバルト、ニッケルは95%にすることが求められていることから、これらレアメタルの回収率改善に取り組んでまいりました。この中で、リチウムは回収が特に難しく、国内外の企業が様々なアプローチで回収率改善に取り組んでいます。そのような中、この度当社が開発した新プロセスは、世界最高水準(※2)のリチウム回収率となる90%を実現し、さらに、回収したリチウムを活用し回収プロセス中の薬品使用量を極少化することで、プロセス全体の効率化を図るとともに、従来プロセスに比べカーボンフットプリント(Carbon Footprint of Product、以下「CFP」)を40%削減することができます(※3)。世界最高水準の高いリチウム回収率とCFP削減を両立する本プロセスは、業界内でも先進的かつ画期的なものです。
 現在、2026年度下期の稼働開始を目指し、JXCSの子会社であるJX金属サーキュラーソリューションズ敦賀株式会社(以下「JXCS敦賀」)の既存設備に新プロセス設備の追加工事を進めております。なお、本実証事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」の支援を受けて実施するものです。

 

 昨今の世界的な脱炭素化の進展や資源保護に向けた環境規制強化の流れから、最終製品のリサイクル率のみならず、製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減することが求められています。本プロセス開発によるレアメタルの回収率向上とCFP削減の両立は、自動車OEMや総合電機メーカー等が抱える課題に応えるものであり、産業横断型の資源循環促進に資するものとなります。今後はJXCS敦賀で実証試験を進め、回収した高純度リサイクル原料をサプライチェーンへ供用し評価を進めるとともに、様々な事業パートナーと連携を強化することでクローズドループ・リサイクルの社会実装をさらに推進してまいります。

 

 なお、4月18日に弘前大学にて開催されるリチウム資源採取・回収技術シンポジウム2025におきまして、「JX金属グループでのLiBリサイクルプロジェクト概要」(※4)と題して講演いたします。

 

以  上

 

(※1)2022年4月20日プレスリリース『「クローズドループ・リサイクルによる車載LiB再資源化」がNEDOグリーンイノベーション基金で採択』をご覧ください。
(※2)JXCS調べによる。
(※3)回収した金属成分(コバルト、ニッケル、リチウム)の合計質量あたりのCFP。当社、社内基準に基づいて算定。
(※4)シンポジウム詳細はこちらをご覧ください。