事業案内

金属・リサイクル事業

事業概要

JX金属グループでは、金属製錬とリサイクルの一体的な事業運営を推進しています。銅鉱石と使用済み家電製品・電子機器などのリサイクル原料から、高効率な製錬プロセスを通じて純度99.99%以上の銅地金を生産するとともに、銅を製錬する過程の副産物として、貴金属・レアメタルや硫酸などの生産を行っています。これらの製品を、当社先端素材の材料に供するとともに、日本国内やアジア地域をはじめとする世界各地へ安定的に供給しています。JX金属製錬(株)佐賀関製錬所の銅製錬は、鉱石中の硫黄分の酸化反応熱を用いて溶解を行う環境負荷の少ない製錬法で、余剰熱を活用したリサイクル原料の処理が可能であり、その処理量を増加させることで、持続可能な循環型社会の構築に貢献しています。また、製錬で培った焼却・溶融技術を応用した産業廃棄物の無害化処理事業は、埋め立て処理を必要とする二次廃棄物を発生させないという「ゼロエミッション」を特徴とし、環境汚染防止にも貢献しています。

事業領域

金属 銅精鉱の調達、銅製錬、銅地金及び副産物(硫酸、化成品、貴金属、レアメタル等)の販売を行っています。
リサイクル リサイクル原料の集荷や前処理を行います。これら原料は製錬プロセスを経て、銅・貴金属・レアメタルへ再生されます。
環境事業 製錬で培った焼却・溶融技術を応用した難処理産業廃棄物の処理に取り組んでいます。
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事業を通して目指す姿

JX金属が目指す資源循環型社会

「グリーンハイブリッド製錬」による「サステナブルな銅」の生産・供給について

佐賀関製錬所における グリーンハイブリッド製錬

脱炭素化社会実現のためには「再生可能エネルギーの拡大」および「他産業・多領域における電化」が必要とされています。これらを地球規模で実現​するにあたり、銅は欠かせない脱炭素資源となっています。
JX金属製錬(株)佐賀関製錬所ではリサイクル原料の増処理を進めるにあたり、鉱石自ら発する酸化反応熱を最大限に活用し、化石燃料使用量をミニマイズする「グリーンハイブリッド製錬」を推進しています。これにより生産された銅は「拡大する需要を支える安定供給体制の構築」と「脱炭素や資源循環等の『ESG』を重視した生産と供給」という2つの使命を果たすために最適な「サステナブルな銅」であると考えています。2040年に銅製錬時のリサイクル原料投入比率を50%まで高めることを目標に、技術確立やリサイクル原料の増集荷・増処理体制の確立を進めていきます。

事業プロセス

事業プロセスの詳細

1.銅精鉱

荷揚げされた銅精鉱は、貯鉱舎に運ばれ、種類別に貯蔵されます。複数の銅精鉱が調合され、その後自溶炉に送られます。

2.自溶炉

銅精鉱を酸素富化空気とともに自溶炉に吹き込むと、炉内で瞬時に酸化反応し、その酸化熱によって溶解します。その後、銅品位約65%のマットと酸化鉄・珪酸などからなるスラグとに分離します。

3.転炉

自溶炉で生成されたマットは転炉に送られます。転炉では炉内に酸素富化空気を吹き込み、さらにマットを酸化させ、銅品位約99%の粗銅を作ります。

4.精製炉

ブタンガスを還元剤として吹き込み、粗銅に含まれる酸素を除去し、銅品位を99.3%まで高めます。粗銅は鋳造機で電解精製用のアノード(陽極板)に鋳造されます。

5.電解精製

硫酸銅溶液を張った電気分解槽にアノードとステンレス板のカソード(陰極板)を交互に挿入し、直流電流を流します。これにより、銅分が硫酸銅溶液中に溶出し、カソードに電着します。

6.銅地金

約10日間通電して電着した銅分をカソードからはぎ取り、ほぼ不純物のない銅地金や型銅として出荷します。世界各国でその品質が高く評価され、電線や伸銅をはじめさまざまな用途に活用されています。

7.硫酸

自溶炉および転炉において発生する排ガスには高濃度のSO₂ガスが含まれます。この排ガスを排熱ボイラーで回収して電気集塵機で除塵した後、硫酸工場に送ります。硫酸工場では濃硫酸、発煙硫酸を製造し、出荷しています。

8.貴金属・レアメタル

電解精製工程で発生した有価金属を含む沈殿物を処理し、金、銀、白金、パラジウム、セレン、テルルなどを取り出し、製品化しています。銅精鉱や、リサイクル原料に含まれる有価金属を効率的に取り出すことにより、限りある資源の有効活用に貢献します。

9.集荷

工場から排出される金属スクラップや廃電子機器など、様々なリサイクル原料を広範囲に回収しています。台湾、米国、ドイツにも集荷拠点等を設けており、世界規模の集荷ネットワークを整えています。

10.前処理

前処理前
前処理後

回収された原料の形状や性状に応じて、各処理拠点で焼却・破砕などの前処理を行います。

製品

非鉄金属製錬における世界のリーディングカンパニーとして、社会基盤の整備に必要不可欠な銅や硫酸、貴金属、レアメタル等を社会に安定的に供給しています。詳しくは以下ページをご覧ください。

拠点

国内拠点

全国的なリサイクル原料の集荷ネットワークを構築することでリサイクル原料の安定的な集荷を行うとともに、各グループ拠点の強みを活かした、効率的な金属製錬、リサイクル原料処理、廃棄物処理を行っています。集荷されたリサイクル原料は、必要に応じてグループ内で前処理された後に、JX金属製錬(株)佐賀関製錬所に集約され、銅精鉱とともに銅製錬の原料として処理されます。また、銅製錬の中間産物や一部のリサイクル原料については、JX金属製錬(株)日立工場で、貴金属・レアメタルとして取り出しています。

海外拠点

当社グループでは、2010年に台湾にリサイクル原料の集荷拠点を設け、2021年には当集荷拠点の能力増強を行っています。また2014年には、米国にも営業拠点を設置しました。さらに2022年には、カナダのE-waste(廃家電・廃電子機器)回収・処理事業者事業者であるeCycle Solutions Inc.の株式を取得しました。このように世界規模のリサイクル原料集荷体制を整えることにより、グローバルな資源循環型社会の構築に積極的に寄与してまいります。​

環境事業について

製錬で培った焼却・溶融技術を応用した難処理産業廃棄物の処理に取り組んでいます。

ゼロエミッションについて

産業廃棄物を処理する際、多くの場合にはその焼却灰や焼却残渣などの二次廃棄物が発生し、これらは最終処分場などに埋め立てられます。ゼロエミッションとは、この二次廃棄物を発生させることなく産業廃棄物を処理することで、次世代への環境負荷を低減させることができます。
当社グループでは「捨てない、埋めない」をスローガンとしたリサイクルシステムを構築し、ゼロエミッションによる産業廃棄物処理および非鉄金属リサイクルを追求しています。