研究開発体制の強化
研究開発体制の強化
当社グループでは、生産や開発分野でのDX対応、開発プロセス管理の強化等を進め、次世代半導体技術など革新的な技術や製品を継続的に生み出す仕組みの構築を進めています。加えて、当社の技術開発や技術立脚型の事業開発を担う人材の育成も進めています。
R&D戦略
当社グループは、創業以来 100 年以上にわたり培ってきた要素技術と、強固な R&D 体制を活かし、長期ビジョンで成長戦略のコアと位置づけた先端半導体や情報通信、リサイクル技術等の技術革新を追求しています。革新的な技術や製品を継続的に生み出すことを目指し、開発のための新規テーマの創出や、事業化の取り組みを推進しています。また、スタートアップへの出資や大学との共同研究などのオープンイノベーションにも積極的に取り組み、IoT・AI社会に必要とされる先端材料の開発を進めています。
R&D戦略の全体像
先端材料の研究開発体制の強化
研究開発費(2025年度)
当社の研究開発体制は、既存製品の高性能化や製造プロセスの改善を通じて既存事業の競争力強化を担う各事業部の開発部門と、新たな成長事業の創出を推進する技術本部の開発部門で構成されています。技術本部は、研究開発機能に加え、全社的な技術戦略の企画・立案機能ならびに研究テーマの事業化を推進するインキュベーション機能を有しており、研究開発から事業化までを一貫して推進する体制を構築しています。近年は、半導体の高性能化やデジタル社会の進展、脱炭素化の加速といった社会環境の変化を見据え、半導体材料、情報通信材料、基礎材料および新規事業領域における研究開発を推進しています。
2025年度以降は、新規事業創出活動のさらなる加速に向けて、テーマ創出から事業化までの運営プロセスや評価の仕組みを整備するとともに、重点テーマについては推進室を中心に事業化に向けた開発・事業検討を推進してきました。今後も有望テーマへの経営資源の集中投入を進め、新規事業の早期事業化および事業拡大を目指します。
新規事業・技術開発の社内プロセスの強化
当社では、成長が期待される市場や技術動向を踏まえ、新規事業の創出に取り組んでいます。技術戦略部を中心に有望な研究テーマを発掘・育成し、技術開発センターおよび各事業部と連携しながら、新規事業の創出と事業化を推進しています。また、ステージゲートプロセスを導入し、技術面・事業面の両面から研究テーマを段階的に評価することで、研究開発から事業化までを一貫して推進しています。これにより、将来の成長を支える新たな製品・技術の創出と、迅速な社会実装を目指しています。
新規事業創出の推進体制
注力領域の設定と新規事業創出
当社では、次世代半導体、エネルギー、航空・宇宙、医療、次世代注目技術を新規事業の注力領域として設定しています。これらの領域において、当社が有する材料技術やグループ会社とのシナジーを活用するとともに、大学・研究機関・スタートアップとのオープンイノベーションを通じて、新たな事業機会の創出に取り組んでいます。
ステージゲートプロセスの導入
ステージゲートプロセスでは、技術面・事業面の評価を段階的に実施し、有望なテーマへ経営資源を重点投入しています。これにより、開発の初期段階から市場性や事業性を意識したテーマ推進を行うとともに、開発の加速や事業化確度の向上を図っています。先端半導体材料やエネルギー関連材料をはじめとする革新的な製品・技術の創出に向け、継続的な取り組みを進めています。
データインフラ材料事業推進部の役割と取り組み
データインフラ材料事業推進部の役割と取り組み
データインフラ材料事業推進部を2025年10月1日付にて新設しました。本組織は、生成AIの進展等に伴い、半導体パッケージやデータセンター、通信分野で技術革新が進展する中、当社の材料技術やコア技術を起点としたビジネス機会の探索および新規事業創出を目的として設置されました。加えて、半導体関連分野におけるリサイクル・資源循環の取り組みも重要な事業機会として捉え、対象領域に含めています。
本組織は、事業部の各部門および開発部門と連携し、部門の垣根を越えた事業開発を推進するとともに、自社開発品を中心としたマーケティングから量産化・事業化までを一体で担っています。また、グループ会社であるタツタ電線、東邦チタニウム、JX金属商事と連携し、各社の材料・製品を活かした共同マーケティングや用途開拓を推進しています。さらに、JOINT3※をはじめとするコンソーシアム活動への参画を通じて、材料・装置・設計企業との共創により開発および実用化の加速を図っています。
本組織は、これらの取り組みにより、市場起点の事業開発を推進し、データインフラ材料分野における新規事業創出の中核的役割を担っています。
- ※JOINT3:次世代半導体パッケージ向け材料・装置・設計技術の開発を目的とした共創型コンソーシアム
社内風土の醸成および人材育成
技術戦略部では、技術プラットフォームを活用し、全社の技術情報や開発成果を共有することで、部門を超えた技術交流と知識の蓄積を推進しています。また、全社技術報告会を開催し、各組織の研究開発成果や技術課題を共有することで、新たな技術シーズの発掘や事業部間連携の促進につなげています。
これらの取り組みを通じて、社員の技術視野の拡大や専門性の向上を図るとともに、事業や組織の枠を超えて新たな価値を創出できる人材の育成を進めています。
Column 次世代育成に向けた取り組み
かけがえのない非鉄金属資源・材料を将来にわたって安定的に確保・供給するためには、未来を担う人材の育成が不可欠です。当社グループでは小学生から高校生・大学生までの若年層を中心に、さまざまな体験や実践に取り組む機会を提供し、非鉄金属について知っていただくきっかけづくりに取り組んでいます。
■次世代育成の基本的考え方
茨城大学工学部トークイベント
「工学の魅力まるごとトークライブ!
茨城大学工学部×JX金属
ホンネ会議」に協力
茨城大学工学部のオープンキャンパスで開催されたトークイベントに協力し、副社長および若手技術系社員が登壇しました。高校生や保護者に対し、工学の魅力や技術者として働くやりがいを伝え、理系進路選択を支援しました。
茨城大学工学部が主催する
「ものづくり体験教室」
「こうがく祭2025」に協力
茨城大学工学部が推進する「女子中高生の理系選択応援プロジェクト ミライエ・ラボ」に協力し、中学生向けの出前授業を実施しました。また、学園祭「こうがく祭」では、熱伝導実験を通じて金属の特性やものづくりの魅力を紹介しました。大学との連携による体験型学習の機会を提供し、人材の育成と地域社会の発展に貢献しています。
東大生産研リサーチキャンパスにて出展
東京大学駒場リサーチキャンパス公開2026に参加し、熱伝導実験や銅の抽出実験を通じて、非鉄金属の役割やものづくりの面白さを紹介しました。
その他の取り組みについてはこちらをご覧ください。
知的財産戦略の基本方針
当社グループが目指す技術立脚型企業においては、知的財産が重要な資産となります。そこで「JX金属グループ 知的財産に関する基本方針」を2022年度に制定し、グループ全体で知財活動を推進しています。
JX金属グループ 知的財産に関する基本方針
私たちJX金属グループは、製品・技術を支える知的財産を重要な資産と認識し、技術的な競争優位性を確立すべく、以下の方針に基づいて活動を行います。
- 1.
- 経営層・事業部門・技術部門・知的財産部門を含む全社的な連携により、経営戦略、事業戦略及び技術戦略を反映した知的財産活動を行います。
- 2.
- 適切な知的財産権の取得及びノウハウの管理を行います。
- 3.
- 知的財産を介した連携により、社外の様々なパートナーとの共創を推進します。
- 4.
- JX金属グループの製品・技術を守るために、JX金属グループが有する知的財産権に対して侵害の疑いがある場合には権利主張を含め適切に対応します。
- 5.
- 他者の知的財産を尊重し、他者の知的財産権を侵害するリスクに適切に対応します。
- 2022年12月1日 制定
2025年11月1日 改正
具体的な取り組み
基本方針1-1 知財体制
社長直下の技術本部内に知的財産部を配置し、「三位一体」をキーワードに、経営層・事業部門・技術部門との連携強化を図り、経営戦略、事業戦略および技術戦略を反映した知的財産戦略を検討し、実行しています。知的財産部内には、事業分野ごとに分けた複数のグループを設け、担当する事業部などと連携しながら事業分野ごとに最適化した知的財産活動を展開しています。
2023年度より、各事業部門を担当する従来のグループに加え、新規事業の創出を支援する専任グループを新設しました。さらに2024年度からは、新規事業関連の業務に関し、専任グループを中心としつつ知的財産部の権利化・調査担当全員が関与できる体制へと拡充しました。この新体制により、新規テーマやアイデアごとに最適な担当者を柔軟に選任することが可能となり、関連する知財情報の調査・分析を高品質かつ迅速に実施することで、新規事業の創出に貢献します。
基本方針1-2 知財人材の育成
知的財産活動を遂行していくためには、知財人材の育成が重要です。当社グループでは、知的財産の適切な取得・保護・活用および知的財産リスクのマネジメントの観点から、事務系を含めた全社員に対し、体系的なプログラムに基づき独自の教材を用いて知的財産教育を実施しています。また、年々高度化する知的財産業務に対応するため、知的財産部では、弁理士資格(9名在籍)やAIPE認定知的財産アナリスト(2名在籍)の取得を奨励するとともに、最新の知財関連知識の共有を推進し専門性向上に努めています。
基本方針2-1 発明推進の取り組み
当社グループでは、特許法に従い、「職務発明の取扱いに関する規則」を制定しています。出願時および登録時の奨励金に加え、利益をあげた特許の発明者や優れた発明を考案した発明者を表彰する当社独自の制度を設け、開発および発明意欲を促し、技術立脚型の企業活動を推進しています。
2025年度は、磁性材、CVD・ALD材料、銅合金板等の6件の発明が表彰対象となりました。なお当社では、ノウハウとして秘匿化する発明も特許と同様に表彰の対象としています。
基本方針2-2 特許権の保有状況など
特許保有件数
当社グループは、技術立脚型企業を目指して積極的な研究開発を推進しています。研究開発活動を通じて創出された発明については、事業戦略に合わせ、国内外において適切な権利化活動を行っています。また、知的財産ポートフォリオの最適化のために、事業との関連性、競争環境および維持コスト等を総合的に評価し、保有特許を見直しました。重要技術および注力領域への資源集中を進め、事業競争力の強化に取り組んでいます。一方、特許出願せずにノウハウとして秘匿する発明についても所定の書式の文書を作成し、ノウハウの対象を可視化するとともに、厳格に秘密管理することで、営業秘密として保護しています。
基本方針3 知財情報の活用を推進
当社グループでは、知財情報(特許情報など)を技術トレンド把握のためのビッグデータと捉え、侵害予防や特許性判断の目的だけでなく、さまざまな目的で活用しています。例えば、IPランドスケープ活動の一環として、自社・他社の特許情報を事業情報、市場情報などと組み合わせて調査・分析を行うことにより、顧客ニーズ・技術動向の変化を先取りし、事業戦略の立案、開発テーマ創出、パートナー探索などに貢献しています。また、知的財産担当者以外にも知財情報の活用を促進する取り組みも行っています。
基本方針4 当社知的財産の保護
当社が有する特許権をはじめとする知的財産権に対して侵害の疑いがある場合には、当社の技術および製品を守るために、権利主張を含め適切に対応しています。不当な侵害に対しては話し合いで解決することを基本としながらも、当社グループの知的財産権を尊重していただけない場合は、裁判所など第三者の判断を仰ぐことも辞さない方針としています。
基本方針5 他者の知的財産の尊重
当社では、事業部、研究開発部門、知的財産部が連携して他者の特許などの知的財産に対応する体制を構築しています。新規事業の企画、製品の研究・開発、製品の製造・販売の各段階において、当社製品に関連する他者の特許などの把握に努めています。仮に、当社製品に関連度の高い特許などが抽出された場合には、必要に応じて社外の弁護士または弁理士の意見を収集しつつ、詳細なリスクの検証と対策方針の策定を行っています。
