資源循環

当社グループでは、資源使用量の削減や生産効率の向上による資源の有効活用に加え、リユース・リサイクルを推進することで、サプライチェーン全体での資源循環の実現を目指しています。

ゼロエミッションの取り組み

一般的な環境事業においては、産業廃棄物を処理する際に発生する焼却灰や焼却残渣などの二次廃棄物を最終処分場に埋め立てることが一般的に行われています。当社グループでは「捨てない、埋めない」をスローガンとし、環境事業とリサイクル事業を組み合わせることで、これら二次廃棄物をリサイクルし、その中に含まれる有価金属を再資源化するシステムを構築・運用することで「ゼロエミッション」に向けて取り組んでいます。環境事業に携わる関係会社と金属・リサイクル事業拠点が連携し、一体となって資源循環型社会の実現に向けて取り組んでいます。

リサイクル原料の処理能力向上

「持続可能な鉱物資源開発・生産」と「リサイクル」の最適な組み合わせを追求し、2040年にリサイクル原料比率(原料投入比率もしくは製品中の含有比率)50%以上を目指しています。

金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の増処理に向けた設備投資

当社は、資源循環の拡大と持続可能な金属資源の安定供給に向けて、リサイクル原料の受入・処理能力の強化を進めています。近年、世界的な資源循環への関心の高まりを背景に、使用済み電子機器(E-waste)をはじめとするリサイクル原料の重要性が高まる一方、各国で原料確保競争も激しくなっています。こうした状況を踏まえ、2025年には佐賀関製錬所において、リサイクル原料の前処理設備の能力増強を決定しました。
本設備は、前処理が必要な低品位E-wasteなどの処理能力向上を目的としており、リサイクル原料の受入・処理能力を2025年比で約50%向上させる計画です。これにより、銅をはじめとする有価金属の回収拡大を図るとともに、貴金属やレアメタルの循環利用を促進します。
当社は今後も、グリーンハイブリッド製錬(後述)を活用した資源循環の拡大を通じて、循環型社会の実現と重要な金属資源の安定供給に貢献していきます。

参照
金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の増処理に向けた 設備投資(固定資産の取得)に関するお知らせ

「ひたちなかリサイクル物流センター」を開設

リサイクル原料の受入・処理能力の強化に加え、調達ネットワークの拡大を目的として、2025年に茨城県ひたちなか市に新たなリサイクル拠点である「ひたちなかリサイクル物流センター」を開設しました。

参照
茨城県ひたちなか市でリサイクル物流センターの竣工式を実施

バーゼル法に基づく再生利用等事業者の認定取得

JX金属製錬(株)佐賀関製錬所は、2023年8月23日付で「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法)」に基づく再生利用等事業者としての認定を受けました。
バーゼル法は、廃棄物の国境を越える移動や処分の規制についての国際的な枠組みであるバーゼル条約の的確かつ円滑な実施を確保するためのルールを定めた法律です。再生利用等事業者は、廃棄物の再生利用等を的確かつ環境保全上適正に行える事業者が認定されるものであり、今回の認定取得は佐賀関製錬所における金属・リサイクル事業の取り組みが認定の要件を満たすと評価されたものです。

製錬

グリーンハイブリッド製錬

当社は「グリーンハイブリッド製錬」と呼ぶプロセスにより電気銅を生産しています。このプロセスでは銅精鉱とリサイクル原料の両方を原料として活用でき、銅精鉱に含まれる硫黄や鉄が酸化することで発する熱を使いリサイクル原料を溶解することができます。このため、他の製錬方法とは大きく異なり、化石燃料の利用は最小限です。

リサイクル原料集荷体制の強化に向けたロードマップ
グリーンハイブリッド製錬のロードマップ
2025年のリサイクル原料比率は26.2%となり、2040年50%以上達成に向けた取り組みを着実に進めています。
グリーンハイブリッド製錬の図

製品化

使用済み家電からの銅資源循環スキームを共創

当社は、2025年、使用済み家電から回収された銅資源を再び製品へ活用する資源循環スキームを構築しました。家電リサイクル工程で回収された銅スクラップを当社が電気銅として再資源化し、再び製品に活用することで、使用済み製品を新たな資源として循環利用する取り組みです。
本スキームでは、100%リサイクル電気銅「PCL100/mb」を活用しています。第三者検証を受けた管理体制のもと、マスバランス方式によりリサイクル原料由来の属性を管理することで、使用済み家電から回収された銅資源の活用状況を適切に把握できる仕組みを構築しました。これにより、資源循環の透明性向上とトレーサビリティの確保を実現しています。

参照
使用済み家電からの銅資源循環スキームを共創 ―100%リサイクル銅のトレーサビリティを高め再び製品へ―

本スキームで活用している100%リサイクル電気銅「PCL100/mb」をはじめ、当社ではリサイクル原料由来の銅素材の供給拡大を進めています。2025年8月から2026年6月までの累計で、「PCL100/mb」および「MR100/mb」の累計出荷量は約5,200トンとなりました。

資源循環の拡大に向けた取り組み

高機能伸銅品の原料100%リサイクル化

従来、当社製造拠点で生産している高機能伸銅品は、電気銅と共に、市中、または事業所内で発生した高純度なリサイクル原料を活用していました。しかし、リサイクル原料のみから製造するニーズに応えるために、「Cu again(シーユーアゲイン)」プロジェクトの一環として、原料の100%リサイクル化を実現した高機能伸銅品の販売を2025年1月に発表しました。
本製品は、電気銅とは異なり、銅精鉱由来の銅の混入を避けることができる設備で製造されます。本ラインナップの第一弾として、チタン銅合金およびコルソン合金の条や箔の提案を開始しています。本ラインナップは、当社グループ企業と連携し集荷したリサイクル原料を、当社が独自開発した不純物分離および不純物混入抑制技術を活用することにより、高機能伸銅品へと再生させています。また第三者機関 UL Solutions社より、原料100%リサイクルであるとの検証(UL2809)を受けており、これにより高い信頼性を確保しています。
当社のチタン銅合金やコルソン合金は、スマートフォンに内蔵されるカメラユニットや、最先端の通信機器やEV内部のコネクタなどに広く用いられており情報化社会や脱炭素化を支えています。また、今日では生成AIデータセンタ内部の極めて高い信頼性が求められるコネクタ材料としての需要が急増しています。さらには、次世代ウェアラブルデバイスやモビリティ、産業ロボットなど成長分野での採用も期待されています。今後環境に配慮した先端素材を必要とする幅広い分野のお客様へ、これら製品をご提案するとともに、ラインナップも拡充する方針です。

参照
原料100%リサイクル高機能伸銅品販売開始 ― サステナブルなチタン銅合金およびコルソン合金の提案を開始 ―

JX金属のリチウムイオン電池(LiB)のリサイクルの歴史

車載用リチウムイオン電池(LiB)のクローズドループ・リサイクル

JX金属は、2005年に家電製品やパソコン向けの民生用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクルを開始して以来、約20年にわたりリサイクル技術の高度化に取り組んできました。その中で、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウムなどのレアメタルを高純度で回収・再資源化する技術を確立し、実証試験プラントでの豊富な操業実績を積み重ねてきました。こうした実績を基盤として、現在は車載用LiBの資源循環に向けた取り組みを推進しています。

民生用LiB
民生用LiB
車載用リチウムイオン電池(LiB)の クローズドループ・リサイクル
LiBリサイクルのベンチスケール設備
LiBリサイクルのベンチスケール設備

LiBに使用されるニッケル、コバルト、リチウム等のレアメタルは、我が国では産出されず特定の国・地域に偏在しており、これら資源の利用・確保に係る環境負荷やサプライチェーンリスクの低減が重大な社会課題となっています。
当社は2020年に日立事業所に設置した連続式小型試験装置(ベンチスケール)で、使用済みの車載用LiBからレアメタルを回収、再び車載用LiBの原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」プロセスを確立しました。現在、JX金属サーキュラーソリューションズ敦賀(株)にスケールアップしたプロセスを導入、実証試験操業中です。高純度硫酸ニッケル回収設備(2021年稼働開始)、高純度硫酸コバルト回収設備(同2022年)に続き、2023年4月より高純度炭酸リチウム回収設備も稼働を開始しました。今後、高純度のリサイクル金属塩をサプライチェーンへ供用し、クローズドループ・リサイクルを実証してまいります。
また、2022年には、当社の「クローズドループ・リサイクルによる車載LiB再資源化」の取り組みが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金に採択されました。本基金を活用し「クローズドループ・リサイクル」の社会実装に向け、大学や公的研究機関と連携してさらなる技術開発を進めています。
さらに、2024年には三菱商事(株)とともに廃家電・廃電子機器や廃車載用リチウムイオン電池等の非鉄金属の資源循環に関する新会社「JX金属サーキュラーソリューションズ株式会社」を設立しました。新会社には、当社および当社100%子会社のJX金属商事(株)が行ってきた銅・貴金属リサイクルと車載用リチウムイオン電池リサイクルに関する事業を分割しました。廃家電・廃電子機器や廃車載用リチウムイオン電池等の資源循環を軸にして、自動車OEMや総合電機メーカー等が抱える課題に対するソリューションを提供し、サーキュラーエコノミー実現への貢献を目指してまいります。

廃車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムの高回収率リサイクルプロセスを開発

2025年、当社グループは、廃車載リチウムイオン電池(LiB)からリチウムを90%以上の回収率で回収する新たなリサイクルプロセスを開発しました。従来プロセス比較でカーボンフットプリント(CFP)を約40%削減できる見込みであり※、欧州電池規則の回収率基準も上回ります。2026年度下期の実証設備稼働開始に向け、導入を進めています。
※ 回収した金属成分(コバルト、ニッケル、リチウム)の合計質量あたりのCFP。当社、社内基準に基づいて算定。

参照
廃車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムの高回収率リサイクルプロセスを開発